专利摘要:
化合物、該化合物を含む製剤組成物、ならびにその製造方法および使用が開示される。化合物は、トリフェニルメタン類似体である。化合物および組成物は、広範な種々の癌、例えば薬剤耐性癌、炎症、変性および血管性疾患、例えば種々の眼性疾患、ならびに寄生生物感染を治療する、および/または予防するために用いられ得る。代表的トリフェニルメタン類似体としては、種々の染料、ホルモン、糖、ペプチド、オリゴヌクレオチド、アミノ酸、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよびポリオールのトリフェニルメタン類似体が挙げられる。化合物は、tNOX発現、ROSの作用、および/またはHIF2の産生を抑制することにより機能すると考えられる。したがって、該化合物は、種々の癌およびその他の疾患のための新規の治療薬である。
公开号:JP2011507971A
申请号:JP2010540937
申请日:2008-12-29
公开日:2011-03-10
发明作者:アルビサー,ジャック,エル.
申请人:エモリー ユニバーシティ;
IPC主号:A61K45-00
专利说明:

[0001] (関連出願の引照)
本出願は、米国特許仮出願第61/009,745号(2007年12月31日出願)および米国特許出願第61/090,027号(2008年8月19日出願)の利益を主張する。前記出願の全ての開示内容は各々、全ての目的のために、参照により本明細書中で援用される]
[0002] (本発明における政府の権利)
この出願に開示される本発明のいくつかの態様は、米国政府、国立衛生研究所助成金No.AR02030により支援された。したがって、米国政府は、本発明において一定の権利を有する。]
[0003] 本発明は、原発性および転移性癌ならびに他の増殖性障害の治療のための新規の方法および組成物に関する。これらの方法および組成物は、トリアリールメタンを用いる。これらの化合物および該化合物を含む製剤組成物は、ヒトにおける原発性および転移性癌を治療するために特に有用である。本発明は、治療用化合物または組成物の種々の投与方式も包含する。]
[0004] 本発明は、国立衛生研究所により授与された助成金番号AR02030下での政府支援でなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。]
背景技術

[0005] 癌は、所定の正常組織由来の異常細胞の数の増大、これらの異常細胞による隣接組織の侵襲、そして所属リンパ節への、ならびに遠位部位(転移)への悪性細胞のリンパまたは血液媒介性拡散により、主に特徴づけられる。癌は、小さな前新生物性変化で開始する多段階プロセスであり、ある条件下では新生物形成に進行し得る。悪性内皮性腫瘍は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびその主要分裂促進因子受容体である血管内皮細胞増殖因子受容体2を含めた自己分泌ループの設定で生じる。]
[0006] 活性酸素種(ROS)は、癌における増殖および血管新生の媒介物質であると考えられる。ROS増大は、しばしば、細胞増殖、例えばRas形質転換細胞および増殖因子で処置される細胞と相関する。非形質転換細胞は増殖因子/サイトカインと応答し、ROSの産生調節を伴うが、一方、培養中の腫瘍細胞はしばしばH2O2を過剰産生する。]
[0007] NAD(P)Hオキシダーゼ(Nox)は、ヒドロキノン(NADH)オキシダーゼおよびタンパク質ジスルフィド−チオール交換活性を有する細胞表面タンパク質である。概して、ほとんどの形態の酵素が、NADHまたはNADPHを等しく効率的に利用し得る。Nox1〜5、二重オキシダーゼ1および2(Duox1および2)を含めた多数の形態のNOx、ならびにp22(phox)、p47(phox)および小Gタンパク質Rac1が存在する。]
[0008] Noxは、ある種の癌におけるROSのレベル増大を説明すると考えられる。活性酸素を生成するNox酵素は血管新生スイッチに関与し、Nox阻害薬は、in vitroでのang−2産生と、in vivoでのbEnd.3腫瘍増殖に及ぼす作用を有する。ang−2産生は、in vivoでのbEnd.3血管腫増殖をほぼ消滅させるNox酵素阻害薬を用いて、薬理学的に抑制され得る。したがって、ang−2産生を標的にするシグナル伝達遮断は、in vivoでヒト血管腫を治療するために有用であり得る(Journal of Investigative Dermatology advance online publication, 1 June 2006; doi: 10.1038/sj.jid.5700413)。]
[0009] 特定のNox酵素に関しては、前立腺癌細胞株中へのNox1のトランスフェクションは腫瘍増殖を劇的に増強し(Arbiser et al.: PNAS 99: 715−720, 2001)、そして前立腺腫瘍はH2O2レベル増大を示す、ということが示されている。さらに、前立腺腫瘍は、Nox1および過酸化水素のレベル増大を示すことが、近年見出された(Lim et al., Prostate. 2005 Feb 1; 62(2): 200−7)。Nox1依存性スーパーオキシド産生は、結腸腺癌細胞移動を制御することも示されている(Sadok et al., Biochim. Biophys. Acta. 1783(1): 23−33 (Jan 2008))。Sadokは、Nox1抑制または下方調節がスーパーオキシド産生ならびにα2β1インテグリン膜利用能の低減をもたらす、ということを示した。したがって、前立腺癌におけるNoxタンパク質レベルとROSとの間に相関が認められ、Nox1/H2O2の増大は腫瘍形成能増大と相関する。]
[0010] Nox4は、癌細胞、例えば膵臓癌細胞におけるアポトーシスの抑制に関与する、と考えられる(Vaquero et al., J. Biol. Chem. 2004 Aug 13; 279(33): 34643−54)。Vaqueroは、NAD(P)Hオキシダーゼ(おそらくはNox4)により産生される増殖因子誘導性ROSがアポトーシスから膵臓癌細胞を防御し、そしてNox4アンチセンスオリゴヌクレオチドによるトランスフェクションが、ある種の膵臓細胞(すなわち、MIA PaCa−2およびPANC−1細胞)におけるNAD(P)Hオキシダーゼ活性およびROS産生を抑制し、これらの細胞におけるアポトーシスを刺激する、と示唆した。]
[0011] PI3K(ホスホイノシトール−3−キナーゼ)の下流のシグナル伝達分子であるAktは、ROS生成酵素Nox4の発現を誘導することが知られている。Akt過剰発現が放射状増殖から垂直増殖に細胞を形質転換させるのに十分であったか否かを試験するために、一試験はAktを放射増殖WM35黒色腫中に導入した。Aktの過剰発現は、VEGFの上方調節、スーパーオキシドROSの産生増大、ならびにより顕著な解糖的代謝への切り替えをもたらした。Aktを過剰発現するWM35細胞の皮下移植はin vivoで急速に増殖する腫瘍を生じたが、一方、ベクター対照細胞は腫瘍を形成しなかった(Arbiser et al., J. Invest. Dermatol. 2006, June 1, 16741507)。このデータは、Aktの抑制がNox4の下流産生を抑制し、これが次にスーパーオキシド生成を抑制して、したがって黒色腫を治療する、という前提を支持する。]
[0012] Duox1および2は、気道内皮細胞における主要Nox種であり、気道における活性酸素種産生のための主な供給源の1つであると考えられる(Luxen et al., Cancer Res. 2008 Feb 15; 68(4): 1037−45)。したがって、これらの酵素の抑制は、ヒト肺癌を治療するのに有用であり得る。]
[0013] Noxを2つの部類に分けられると特徴づけている著者もいる。1つはホルモン非感受性および薬剤応答性(すなわち、キニン部位阻害薬、例えばカプサイシンまたは抗腫瘍スルホニル尿素LY181984による)であり、「tNox」と呼ばれ、これは、癌細胞に特異的である。他方は、非形質転換細胞の原形質膜と関連した薬剤不感性構成形態であり、「CNox」と呼ばれる(Kelker et al., Biochemistry. 26; 40(25): 7351−4 (2001);Wang et al., Biochim Biophys Acta. Jun 20; 1539(3): 192−204 (2001))。]
[0014] 癌細胞は、薬剤応答性ならびにホルモンおよび増殖因子不感性(tNox)と薬剤抑制ならびにホルモンおよび増殖因子依存性(CNox)活性の両方を示し、一方、非形質転換細胞は薬剤不感性ホルモンおよび薬剤応答性CNoxのみを示す。癌細胞のtNoxと同様に、CNoxはNADHを酸化し得るが、しかしホルモンおよび増殖因子により調整される活性を有する。したがって、tNoxの阻害薬(上記のNox酵素のうちの1つ以上、例えばNox4を含むと考えられる)は癌を治療するのに有用であろう、と理論づけている著者もいる。]
[0015] 癌を治療するほかに、Nox阻害薬は、活性酸素種が関与している多数の他の炎症性、変性および血管性疾患に対する治療効果を提供することも予期される。]
[0016] 例えば、Noxは、網膜血管炎症ならびに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)および網膜新血管新生における虚血誘導性増大において一役を有することが報告されている(Al−Shabrawey et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. (2008))。内毒素血症およびストレプトゾトシン誘導性糖尿病のモデルにおいて野生型マウス、Nox2を欠くマウス、ならびにNADPHオキシダーゼ阻害薬アポシニンで処置されたマウスを用いて実施された試験は、ICAM−1発現および白血球停滞における内毒素血症および糖尿病誘導性増大の両方がNox2の枯渇により有意に抑制される、ということを示した。アポシニン治療は、ICAM−1の糖尿病誘導性増大、白血球停滞および血液網膜関門の崩壊を防止するに際してNox2の枯渇と同じくらい有効であったが、これは、Nox2が主に糖尿病性網膜症のこれら早期徴候に関与する、ということを示唆する。]
[0017] ROS上昇は網膜色素上皮におけるアポトーシス性細胞損失を開始し、酸化防止剤がそれを抑制する(Glotkin et al, 2006 IOVS, 47: 4614−4623)。これは、乾性加齢性黄斑変性の発症に一役を果たす、と考えられる。同様に、酸化防止剤の使用は、AMDで大型ドルーゼンを有する患者における新血管新生への進行を低減することが示されてきた(Coleman and Chew, 2007, Curr. Opin. Ophthalmol. 18(3): 220−223)。]
[0018] NADP+レダクターゼは、レチンアルデヒドおよびレチノイン酸の濃度を下げ、これが順次レチンアルデヒド誘導性細胞死から細胞を防御する(Lee et al., J. Biol. Chem., 282(49) 35621−8 (2007))。拡大解釈すれば、NADPHオキシダーゼの抑制は、NADP+レダクターゼの割合を増大させるのと同じ効果を有し得るし、レチンアルデヒドまたはレチノイン酸により媒介される網膜変性に有益な効果がある。]
[0019] NADPHオキシダーゼの特異的抑制は、未熟児網膜症のモデルにおいて血管新生を低減することが示されている(Al−Shabraway et al, 2005, Am. J. Pathol. 167(2): 599−607およびSaito et al, 2007, Mol. Vision, 13: 840−853)。さらに、ROS上昇は糖尿病動物で観察されており、その上昇はVEGF活性増大と相関する。同様に、酸化的ストレスは、糖尿病性網膜症の発症における有意の因子であると考えられる(Kowluru and Chan, 2007, Expt. Diabetes Res., Article ID 43603)。]
[0020] ROSは、緑内障の発症において2つの別個の作用を有し得る。第一に、ROS増大は、小柱網の細胞質増大(ならびにそれにより眼内圧増大)を引き起こす(Sacca et al, 2007, Exp. Eye Res. 84(3): 389−399)。経時的に増大される活性酸素種は、視野欠損の解剖学的基礎である網膜神経節細胞のアポトーシスを増大し得るし、そしてそれを刺激すると考えられる(Tezel, 2006, Prog. Retin. Eye Res. 25(5): 490−513)。]
[0021] 非眼性皮膚組織において、花粉からのNADPHオキシダーゼはアレルギー性応答を永続させることが示されている。NADPHオキシダーゼの抑制は、肥満細胞脱顆粒を低減し、アレルギー性眼疾患に有用であり得る(Nishikawa et al, 2007, BBRC, 362(2): 504−509)。]
[0022] NADPHオキシダーゼの抑制が上記の眼疾患のいくつかにおいて治療効果を提供するという直接的実験的証拠が欠けているが、しかしNADPHオキシダーゼ抑制は細胞性酸化還元平衡を変更すると予測され、したがって間接的手段により種々の症状において治療効果を有し得る。]
[0023] NADPHオキシダーゼが角膜上皮および間質細胞中で構成的に発現される、という観察に基づいて、NADPHオキシダーゼ阻害薬は、ドライアイの治療のために有効でもあり得る(O’Brien et al, 2006, IOVS, 47: 853−863)。著者は、スーパーオキシド陰イオンの産生が角膜の炎症に一役を果たし得る、ということを示唆している。]
[0024] 炎症性障害における特定のNox酵素の役割に関して、Nox2含有NADPHオキシダーゼおよびAkt活性化は、アンギオテンシンII誘導性心筋細胞肥大において重要な役割を果たすと考えられる(Physiol. Genomics 26: 180−191, 2006)。]
[0025] したがって、Noxは、いくつかの癌および炎症性障害におけるROSのレベル増大に関与すると考えられるし、適切な阻害薬による治療はこのような癌および炎症性障害を治療するのに有用であり得る。]
[0026] 慣用的化学療法薬の非選択性により一般的に引き起こされる副作用を有さない癌の治療が依然として必要とされている。さらに、活性酸素種が関与している炎症性、変性および血管性疾患のための付加的治療を有することも依然として必要とされている。本発明は、このような化合物、組成物および方法を提供する。]
[0027] 化合物、該化合物を含む製剤組成物、ならびにその製造方法および使用が開示される。化合物は、トリアリールメタン化合物、例えばトリフェニルメタン類似体であり、これは、ルイス酸、例えばオキシ塩化リンまたは塩化チオニルの存在下で、例えばジアリールケトン、例えばミヒラーケトンを芳香族またはへテロ芳香族化合物、例えばフェノールまたはアニリンと反応させることにより形成され得る。典型的には、求電子性付加は、フェノールまたはアニリン化合物中のヒドロキシまたはアミノ基に対してオルトまたはパラ位置で、あるいはニトロまたはカルボキシ基に対してメタ位置で起こり、その後、脱水されて、トリフェニルメタン化合物を形成する。]
[0028] 代表的化合物としては、ステロイドおよびステロイド前駆体、例えばコレステロール、プロゲステロン、テストステロンまたはエストロゲン;染料、例えばインディゴ、クリシンおよびイミプラミン;ベンゾフェノン、ヌクレオシド、例えばウラシル、チミジン、アデニン、シトシンおよびグアニン、芳香族アミノ酸、例えばフェニルアラニン;葉酸ならびに種々の三環式化合物、例えば種々の三環式染料および三環式抗うつ薬のトリフェニルメタン類似体が挙げられる。]
[0029] 特定の代表的化合物としては、以下のものが挙げられる:
[TPM1]FW=502.71g/molエチルカルバゾール
[TPM2]FW=588.87g/molイミプラミン
[TPM3]FW=455.46g/molモスボール
[TPM4]FW=432.60g/molバニリン
[TPM5]FW=512.69g/molトリプトファン
[TPM6]FW=400.60g/molメチルブリリアントグリーン
[TPM7]FW=672.86g/molPopopブリリアントグリーン
[TPM8]FW=502.65g/molカフェイン染料
[TPM9]FW=521.76g/molプロトンスポンジ染料
[TPM10]FW=662.95g/molDDTブラック]
[0030] これらのトリアリールメタン含有化合物の合成、特性化および抗腫瘍能評価も開示される。]
[0031] ある種のトリフェニルメタン上のイミニウム基が、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元されるプロドラッグ形態の化合物も開示される。このような一化合物は、還元形態のゲンチアナバイオレット(トリス(ジメチルアミノフェニル)メタン)である。プロドラッグは、親化合物に容易に再酸化されて、薬剤それ自体を上回る種々の利点を提供し得る。例えば、プロドラッグ形態は、余り着色されず、より親油性である(イミニウム塩がアミンに還元されるため)。化合物は、親薬剤より容易に細胞に取り込まれ得るし、in vivoで低刺激性であり得る。高レベルのスーパーオキシド/過酸化水素を有する腫瘍/血管中では、プロドラッグは細胞内でトリフェニルメタン染料に容易に酸化され得る。]
[0032] いくつかの実施形態では、還元化合物(プロドラッグ)は1つ以上の遊離アミン基を有し、これは、塩化ジクロロアセチルと反応して、1つ以上のトリクロロアセチルアミド基を作り得る。加水分解時に、プロドラッグはin vivoで加水分解して、ジクロロ酢酸塩(「DCA」)およびトリフェニルメタン化合物を形成するが、これらはともに癌を治療するのに有用である。]
[0033] 特定の理論に縛られることなく考えると、化合物は、以下の機序のうちの1つ以上により機能する:
a)全ての形態のNoxを抑制すること、
b)Nox1〜5を特異的に抑制すること、
c)Nox2および/またはNox4(後者は正常細胞より癌細胞中で一般的である)を特異的に抑制すること、
d)正常細胞より癌細胞中で一般的であるNox酵素(本明細書中では、以後、tNoxと呼ぶ)を抑制すること、
e)ROSを抑制すること、
f)スーパーオキシド掃去剤、例えば掃去剤酵素系カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼI(Zn2+/Cu2+ SOD)およびII(MN−SOD)、ならびにグルタチオンペルオキシダーゼを助成すること、そして
G2/M細胞周期停止を誘導すること。]
[0034] 化合物がROSを抑制し得る証拠は、本明細書中では作業例で実証されるが、それらは、化合物がスーパーオキシドジスムターゼに付加される場合、それらはスーパーオキシドジスムターゼのスペクトルを変更し、そして遊離ラジカルに転化されると思われるということを電子スピン共鳴スペクトルが実証する、ということを示す。]
[0035] 上記のように、癌細胞を殺害するための機序は、CNoxに有意に作用することなくtNoxの抑制を伴って、それにより、特に転移腫瘍において、細胞増殖を有効に抑制し得るし、あるいは癌細胞中で一般的であるNox4のようなNox酵素のいずれかの抑制を伴い得る。すなわち、いくつかの実施形態では、Noxは、正常細胞を上回って癌細胞中で選択的に発現されるものであり、そして他の実施形態では、Noxは、正常細胞中よりも癌細胞中で高濃度で発現されるものである。他の実施形態では、化合物は、活性酸素種(「ROS」)の作用を抑制することにより、および/または低酸素誘導因子(HIF2)(活性酸素のために血管新生を駆動する)の産生を抑制することにより、機能する。]
[0036] 1つ以上のこれらの化合物による治療は、健常細胞を殺害することなく、癌細胞を選択的に殺害し、したがって選択的抗癌療法を提供し得る。最も重要なことは、これらの化合物が、転移するようになった癌細胞に対して強力である点である。]
[0037] WM35PKB(Aktを過剰発現する安定WM35細胞)からのデータは、例えば、欠陥ミトコンドリアにより産生される活性酸素を直接的に掃去することにより、Nox非依存的方法で活性酸素を該化合物が抑制し得る、ということを示唆する。]
[0038] ROSおよび/またはHIF2を抑制することにより、活性酸素種が関連づけられてきた種々の炎症性、変性および血管性疾患が治療され得る。]
[0039] 別の実施形態では、化合物は、寄生生物感染、例えばマラリア、トリパノソーマ症およびリーシュマニア症、具体的には、例えばシャーガス病および睡眠病を治療するのにも有効である。]
[0040] 製剤組成物は、有効量の本明細書中に記載される化合物を、製薬上許容可能な担体または賦形剤とともに含む。有効量で用いられる場合、化合物は、広範な種々の癌、特に転移癌を予防する、および/または治療するための治療薬として作用し得るし、この役割において安全且つ有効であると考えられる。治療されおよび/または予防され得る代表的癌としては、黒色腫、白血病、非小細胞肺癌、結腸癌、中枢神経系(CNS)癌、腎臓癌、卵巣癌、乳癌および前立腺癌が挙げられる。付加的製剤組成物は、活性酸素種が関連付けられてきた炎症性、変性および血管性疾患、具体的には例えば眼性疾患の治療のために有用であり得る。]
[0041] 本発明の前記のおよび他の態様は、以下で記述される詳細な説明および実施例で詳細に説明される。]
図面の簡単な説明

[0042] 可溶性tie−2受容体によるang−2シグナル伝達の抑制がin vivoでのbEnd.3増殖を抑制することを示す写真およびグラフを包含する。上パネルは、対照Fc処置腫瘍(左)およびtie−2/Fc処置血管腫(右)を有するマウスを示す。下パネルは、tie−2/Fcで処置されたマウスにおける血管腫容積が対照マウスとは有意に異なることを示す(P<0.05)。3匹のマウスを各群に用い、誤差バーは平均の標準誤差を表す。
ブリリアントグリーン(BG、4−[(4−ジメチルアミノフェニル)−フェニル−メチル]−N,N−ジメチル−アニリン)およびゲンチアナバイオレット(GV、ヘキサメチルパラロザニリンクロリド)が、Cos−phoxおよびHEK293Nox4−11細胞において、用量依存的方法で、過酸化水素(H2O2)産生とともに、(a)Nox2(Cos−phox)、ならびに(b)Nox4活性を抑制することを示すグラフである。
in vivoでのbEnd.3血管腫に及ぼすブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレットの作用を示す写真およびグラフである。上の写真(図3a)は、3群の各々における平均腫瘍負荷を表わし、腫瘍容積(mm3)はグラフで示されている。図3bにおいて、誤差バーは平均の標準誤差を表す。
経時的(時間)に寄生生物数/mLにより測定した場合の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、トリフェニルメタン化合物、TPM1の有効性を示すグラフである。グラフは、0.1、1.0、10および50mcMの濃度での結果を示す。
経時的(時間)に寄生生物数/mLにより測定した場合の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、トリフェニルメタン化合物、TPM2の有効性を示すグラフである。グラフは、0.1、1.0、10および50mcMの濃度での結果を示す。
経時的(時間)に寄生生物数/mLにより測定した場合の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、トリフェニルメタン化合物TPM3の有効性を示すグラフである。グラフは、0.1、1.0、10および50mcMの濃度での結果を示す。
経時的(時間)に寄生生物数/mLにより測定した場合の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、トリフェニルメタン化合物、TPM5の有効性を示すグラフである。グラフは、0.1、1.0、10および50mcMの濃度での結果を示す。
経時的(時間)に寄生生物数/mLにより測定した場合の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、エタノールの有効性を示すグラフである。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物への曝露後48時間に採取したデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物、TPM1の有効性を示すグラフである。グラフは、0.05、0.1、1および5mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物への曝露後48時間に採取したデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物、TPM2の有効性を示すグラフである。グラフは、0.05、0.1、1および5mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物への曝露後48時間に採取したデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物、TPM6の有効性を示すグラフである。グラフは、0.05、0.1、1および5mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物への曝露後48時間に採取したデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物、TPM7のそれぞれの有効性を示すグラフである。グラフは、0.05、0.1、1および5mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物への曝露後48時間に採取したデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物、TPM9のそれぞれの有効性を示すグラフである。グラフは、0.05、0.1、1および5mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物への曝露後48時間に採取したデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物、TPM10の有効性を示すグラフである。グラフは、0.05、0.1、1および5mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
経時的に寄生生物数/mLにより測定した場合(化合物に寄生生物を曝露後48時間に測定されたデータ)の、リーシュマニア・アマゾネンシスを処置するに際しての、化合物 TPM6の有効性を示すグラフである。グラフは、0.001、0.005、0.01および0.05mcMの濃度での、対照としてエタノールを用いての結果を示す。
ゲンチアナバイオレットのESRスペクトルである。
DTTブラックのESRスペクトルである。
イミプラミンブルーのESRスペクトルである。] 図3a 図3b
[0043] 化合物、該化合物を含む製剤組成物ならびにその製造方法および使用が開示される。]
[0044] 以下の定義は、本明細書中に記載されるような本発明の境界線を理解するのに有用である。]
[0045] 本明細書中で用いる場合、「アルキル」は、C1〜C8、好ましくはC1〜C5を含む直鎖または分枝鎖飽和炭化水素ラジカル、例えばメチル、エチルまたはイソプロピルを指し;「置換アルキル」は、1つ以上の置換基、例えばヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アリール、ヘテロシクロ、ハロ、アミノ、カルボキシル、カルバミル、シアノ等をさらに保有するアルキルラジカルを指し;「アルケニル」は、C1〜C8、好ましくはC1〜C5を含み、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素ラジカルを指し;「置換アルケニル」は、上記のような1つ以上の置換基をさらに保有するアルケニルラジカルを指し;「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子、好ましくは3〜6個の炭素原子を含有する飽和または不飽和の非芳香族環式環含有ラジカルを指し;「置換シクロアルキル」は、上記のような1つ以上の置換基をさらに保有するシクロアルキルラジカルを指し;「アミノ」という用語は、0、1または2つのアルキル基を保有するアミン基を指し、例としては、3〜8個の炭素の環サイズを有する環状アミンを指し;「アリール」は、6〜10個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを指し;「置換アリール」は、上記のような1つ以上の置換基をさらに保有するアリールラジカルを指し;「アルキルアリール」は、アルキル置換アリールラジカルを指し;「置換アルキルアリール」は、上記のような1つ以上の置換基をさらに保有するアルキルアリールラジカルを指し;「アリールアルキル」は、アリール置換アルキルラジカルを指し;「置換アリールアルキル」は、上記のような1つ以上の置換基をさらに保有するアリールアルキルラジカルを指し;「ヘテロシクリル」は、環構造の一部として1つ以上の異種原子(例えば、O、N、S)を含有し、2〜7個の炭素原子を環中に有する飽和または不飽和環状ラジカルを指し;「置換へテロシクリル」は、上記のような1つ以上の置換基をさらに保有するヘテロシクリルラジカルを指す。
I.化合物]
[0046] 化合物は、トリアリールメタン化合物、あるいはこれらの化合物のプロドラッグまたは代謝産物、ならびにその製薬上許容可能な塩である。トリアリールメタン化合物は、典型的には、一端で2つのアリールまたはへテロアリール環に、他端でシクロヘキサジエン環に連結される第一の炭素−炭素二重結合(「第一環外二重結合」を形成する)を包含し、これは、典型的にはイミンまたはケトン基の形態で、第二環外二重結合を任意に包含する。2つのアリールまたはへテロアリール環は、例えばアルキレン架橋、例えばメチレン架橋であり得る架橋、あるいは異種原子、または環の間の直接連結により、連結され得る。]
[0047] シクロヘキサジエン中の第二環外二重結合は、第一環外二重結合に対して「オルト」または「パラ」位置であり得る。]
[0048] 一実施形態では、化合物は、一般的に、以下で提供される式:]
[0049] (式中、Jは、2つのアリール環の間の直接結合、O、S、Se、NRまたは(CR2)nを表し、
n=0〜4、一実施形態では、1〜4であり、
Eは、CH、本明細書中で定義されるような置換基Zに結合されるC、またはNであり、
R=H、あるいは置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、
X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテルであり、好ましくは、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールおよびチオールエーテルから選択され、
Y=O、SまたはNR2(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、
Z=任意置換基(例えば、ハロ、ヒドロキシル、チオール、エステル、アミド、カルボキシ、スルホキシ、ニトリル、アジド、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ホスホネート、フルベン等)、
Zは、アリール環に結合される単環式環、あるいはベンゼン環またはシクロヘキサジエン環に結合される第二アリールまたはヘテロアリール環でもあり得るが、
ここで、前記アリールまたはヘテロアリール環は、任意の遊離位置で、Hまたは本明細書中で定義されるような置換基Zで置換され得る)、
のうちの1つ、ならびに式2および3におけるヘテロアリールを含む式4に対する対応物の範囲に入る。]
[0050] 代表的置換基Zとしては、C1−6アルキル(シクロアルキルを含む)、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ(例えば、F、Cl、BrまたはI)、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R”(ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキル(例えば、ベンジル)である)が挙げられる。]
[0051] Zが、アリール環に結合される単環式環、あるいはベンゼン環またはシクロヘキサジエン環に結合される第二アリールまたはへテロアリール環である化合物の具体例を以下に示す:]
[0052] (式中、Z、XおよびJは、上記と同様であり、
X’は、O、S、NRまたはNR2+であり、
Tは、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−S−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−、−S−C(O)−、−NR−C(O)−、NR、O、S、(−CR2)n、(−CR2)n−NR−、(−CR2)n−O−および(−CR2)n−S−からなる群から選択され、そして
Uは、−C(O)−、NR、S、Oおよび(−CR2)nからなる群から選択される)。]
[0053] 代表的三環式環(すなわち、上記のUおよびT置換基を含む)としては、以下のものが挙げられる:]
[0054] これらの化合物は、三環式抗うつ薬およびトリフェニルメタン染料であるか、またはそれらと類似している。上記化合物の全てにおける芳香族環は、任意に、1つ以上の上記のような置換基Zで官能化され得る。]
[0055] 上記のアリール環は、典型的には、主に、求電子性芳香族置換反応に関する慣用的規則に従って指図される位置で、他のアリール環と結合される。すなわち、電子供与置換基、例えばアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、ヒドロキシ、エーテルおよびアミンを有する環は、その置換基に対してオルトまたはパラ位置で置換される傾向があり、電子求引性置換基、例えばニトロまたはカルボキシを有する環は、その置換基に対してメタ位置で置換される傾向がある。これらの化合物の位置異性体は、分離され得るか、あるいは所望により、組合せて用いられ得る。]
[0056] 一実施形態では、化合物は式1のものと類似しているが、但し、シクロヘキサジエン部分における酸素または窒素原子との環外二重結合は存在しない。この実施形態に関する代表的化合物を以下に示すが、種々の変数に対する定義は式1に関して上記されたものと同じである:]
[0057] (式中、X、ZおよびRは上記と同様である)。]
[0058] 化合物は、種々の程度のエナンチオマー過剰率で起こり得るし、ラセミ混合物は既知のキラル分離技法を用いて精製され得る。]
[0059] 化合物は、遊離塩基形態で、または塩形態(例えば、製薬上許容可能な塩)であり得る。適切な製薬上許容可能な塩の例としては、無機酸付加塩、例えば硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩;有機酸付加塩、例えば酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸との塩、例えばアスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウムおよびカリウム;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウムおよびカルシウム;アンモニウム塩、有機塩基性塩、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミンおよびN,N’−ジベンジルエチレンジアミン;ならびに塩基性アミノ酸、例えばリシンおよびアルギニンとの塩が挙げられる。塩は、いくつかの場合、水和物またはエタノール溶媒和物であり得る。塩の化学量論は、構成成分の性質に伴って変わる。]
[0060] 以下のアリール/へテロアリール環は、式1におけるアリール環のうちの1つとして、本明細書中に記載される化合物中に存在し得る。]
[0061] 代表的化合物としては、以下のものが挙げられる:]
[0062] (式中、JおよびXは、上記と同様である)。]
[0063] 互変異性型の化合物も、本発明の範囲内である。例えば、以下に示される化合物は、両方の互変異性型で存在し得る:]
[0064] プロドラッグ形態の化合物
いくつかの実施形態では、還元化合物(プロドラッグ)は、1つ以上の遊離アミン基を有し、これは、塩化ジクロロアセチルと反応して1つ以上のトリクロロアセチルアミド基を作り得る。加水分解時に、プロドラッグはin vivoで加水分解して、ジクロロ酢酸塩(「DCA」)およびトリフェニルメタン化合物を形成し、これはともに癌を治療するのに有用である。すなわち、DCAは、in vitro癌細胞株およびラットモデルに関して試験され、そして、ミトコンドリア機能を回復し、したがってアポトーシスを回復して、in vitroで癌細胞を殺害し、ラットにおける腫瘍を縮小することが見出された(Bonnet et al., Cancer Cell 11(1): 37−51 (2007)参照)。]
[0065] 例えば、プロドラッグは、第四級アンモニウム基と還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応させてアミンを形成することにより、調製され得る。アミンは、特に、活性酸素種を産生する癌細胞中に取り込まれる場合、in vivoで再酸化され得る。]
[0066] 上記のように、アミン基は、アミド基に転化され、これは、加水分解時に、アミンを生じ、これは酸化されて活性化合物を形成し得る。アミド基がトリクロロアセチルアミド基である場合、加水分解はトリクロロ酢酸塩も産生し、これは、活性化合物とは異なる経路により癌と闘い得る(したがって、単一プロドラッグからin situ薬剤カクテルを形成する)。アミンおよび酸、または酸ハロゲン化物/無水物からアミドを形成するための条件は、当業者によく知られており、ここで繰り返して述べる必要はない。
II.化合物の製造方法]
[0067] いくつかの実施形態では、化合物は、ルイス酸あるいはオキシ塩化リンまたは塩化チオニルの存在下で、ジアリールケトンをフェノールまたはアニリン化合物と反応させることにより調製され得る。このアプローチを用いて、多数のトリフェニルメタンが、容易に入手可能なジアルキルケトンおよびフェノールまたはアニリン出発物質から製造され得る。反応は、アニリンまたはフェノールのオルトまたはパラ位置へのジアリールケトン中のケトン分子の求電子性付加により進行し、その後、脱水されて、トリフェニルメタンを形成する。]
[0068] 以下で考察されるように、ジアリールケトンを調製するために日常的化学反応が用いられ得る。
ジアリールケトンの生成方法]
[0069] フェノールまたはアニリンを用いたカップリング段階に用いられるジアリールケトンは、ミヒラーズケトンのように商業的に入手可能であり得るか、あるいは既知の化学または既知の化学の変法を用いて調製され得る。理想的には、アリール環は、求電子性芳香族置換反応を助長する(すなわち、ヒドロキシ、エーテル、チオール、チオールエーテルおよびアミンのような電子供与置換基を含む)方法で官能化される。]
[0070] Yun et al., Tetrahedron Letters, Volume 42, Issue 2, Pages 175−177 (8 January 2001)は、固相上での3成分スティルカップリング反応を用いて、広範な種々の官能基を保有するジアリールケトンを調製することを開示する。反応は、一酸化炭素の存在下でポリマー結合有機スズ化合物およびアリールハロゲン化物を用いることを包含する。]
[0071] Silbestriらは、溶媒としてのクロロベンゼン中での塩化アロイルとのトリメチルアリールスズの無触媒反応による、良好な収率(40〜78%)での、一連のジアリールケトンの合成を開示する(Silbestri et al., Journal of Organometallic Chemistry, Volume 691, Issue 8, Pages 1520−1524 (1 April 2006))。これらの反応は、完全に位置選択的であり、芳香族環中に存在する置換基の配向力の影響下で通常は利用可能でないジアリールケトンの合成を可能にする。さらにまた、反応条件は、酸感受性分子に適用されるのに十分に低刺激性である。
Duplaisら(Angewandte Chemie International Edition, Volume 43, Issue 22, Pages 2968−2970 (May 2004))は、シアン化アロイルの鉄触媒性アリール化によるジアリールケトンの効率的合成を開示する。]
[0072] Enquist et al., Org. Lett., 5(25), 4875−4878, 2003. 10.1021/o1036091x S1523−7060(03)06091−7 (November 20, 2003)は、マイクロ波照射下でのコバルトカルボニル媒介性合成を用いたジアリールケトンの超高速合成を開示する。]
[0073] Enquist合成は、金属活性化、in situ一酸化炭素送達およびマイクロ波加熱の利点を組合せて、6〜10秒でベンゾフェノンを効率的に合成した。これらの超高速カルボニル化反応は、ジコバルトオクタカルボニルの存在下で、ヨウ化アリールの瞬間加熱により空気中で起こる。したがって、適切に官能化されたヨウ化アリールを用いて、所望のジアリールケトンを迅速に調製し得る。]
[0074] これらの反応は何れも、本明細書中に記載されるジアリールケトンを調製するために用いられ得る。
トリアリールメタン生成]
[0075] 合成の例を、スキームIに示す(ここで、星印は、求電子性芳香族付加が起こるアニリンおよびフェノール上のそれぞれのオルトおよびパラ位置を示し、XおよびJに関する値は、式1〜4に関して上記されたものである):]
[0076] 式1〜4は種々のアリールおよびへテロアリール環を示し、これらの式は、環が付加的環でさらに官能化され得る(ナフチルの場合のように直接的カップリングにより、またはビフェニルおよびその他のビアリール環の場合のように共有結合により)という可能性を含むと定義される。]
[0077] ジアリールケトン、フェノールおよびアニリンの一部であり得る代表的アリールおよびへテロアリール環を以下に提示する(環は適切なアリールケトン、ヒドロキシまたはアミン官能化を含むという条件で):]
[0078] (式中、アリール/へテロアリール環のいずれかが、本明細書中に記載されるような1つ以上の置換基で置換され得る)。
ジアリールケトン、フェノールおよびアニリンの官能化]
[0079] 本明細書中に記載される化合物を製造するために用いられるジアリールケトン、フェノールおよびアニリンは、市販されているか、あるいは市販の出発物質から調製され得る。市販されていないものは、所望される特定の部分および特定の置換に関連した種々の合成方法により製造され得る。合成方法の変法は、有機合成技術分野の当業者には容易に明らかになる。]
[0080] トリアリールメタンを調製するための出発物質として用いられるアリールまたはへテロアリール環上の、トリアリールメタン枠組み中の他の位置での他の置換基の組込みは、容易に実現され得る、と当業者は容易に理解する。さらにまた、トリアリールメタンが調製された後に、種々の置換基が付加され得る。このような置換基は、それら自体における且つそれら自体の有用な特性を提供し得るし、あるいはさらなる合成的精密化のための手段として役立ち得る。]
[0081] 置換基は、典型的には、上記のように、フェノールまたはアニリンとの反応の前にジアリールに、あるいはジアリールケトンの調製前にアリール環に付加され得る。但し、このような置換は、ジアリールケトンおよびフェノールまたはアニリンをカップリングする(すなわち、ルイス酸条件)ことによるトリアリールメタン合成を存続すべきであるか、あるいはトリアリールメタン合成が完了した後に付加されるべきである。]
[0082] 例えば、アリール環は、特定のハロゲンによって変わる種々の既知の手法を用いてハロゲン化され得る。適切な試薬の例としては、濃HBr中の臭素/水、塩化チオニル、pyr−ICI、フッ素およびアンバーリストAが挙げられる。アリール環のジアゾ化位置に置換基を保有する多数の他の類似体が、ジアゾニウム塩中間体を介して、対応するアニリン化合物から合成され得る。ジアゾニウム塩中間体は、既知の化学、例えば無機酸の存在下での亜硝酸ナトリウムによる芳香族アミン、例えばアニリンの処理を用いて調製され得る。]
[0083] ジアゾニウム塩はアニリンから形成され、アニリンは、順次、ニトロベンゼンから調製され得る(そして、類似のアミン置換へテロアリール環はニトロ置換へテロアリール環から調製され得る)。ニトロ誘導体は、典型的には酸の存在下で、亜硝酸塩との反応により、アミン化合物に還元され得る。他の置換類似体は、ヒドロキシ、アルコキシ、フルオロ、クロロ、ヨード、シアノおよびメルカプト(これらに限定されない)を含めて、当業者に知られた一般技法を用いて、ジアゾニウム塩中間体から産生され得る。例えば、ヒドロキシ−トリフェニルメタン類似体は、ジアゾニウム塩中間体を水と反応させて、その結果生じたヒドロキシル基を保護し、シクロペンタジエニル陰イオンを形成し、それを適切なアルデヒドまたはケトンと反応させることにより調製され得る。同様に、アルコキシトリフェニルメタン類似体は、ジアゾニウム塩をアルコールと反応させることにより製造され得る。ジアゾニウム塩は、当業者に知られているように、シアノまたはハロ化合物を合成するためにも用いられ得る。メルカプト置換は、Hoffman et al., J. Med. Chem. 36: 953 (1993)に記載された技法を用いて得られる。そのようにして生成されたメルカプタンは、ついで、水素化ナトリウムと適切なアルキル臭化物との反応によりアルキルチオ置換基に転化され得る。その後の酸化は、次に、スルホンを提供する。前記の化合物のアシルアミド類似体は、有機合成技術分野の当業者に既知の技法を用いて、対応するアミノ化合物を適切な酸無水物または酸塩化物と反応させることにより調製され得る。]
[0084] ヒドロキシ置換類似体は、適切な酸、酸塩化物または酸無水物との反応により、対応するアルカノイルオキシ置換化合物を調製するために用いられ得る。同様に、ヒドロキシ化合物は、電子欠損型芳香族環での芳香族求核置換によるアリールオキシおよびヘテロアリールオキシの両方の前駆体である。このような化学は、有機合成技術分野の当業者によく知られている。エーテル誘導体は、アルキルハロゲン化物および適切な塩基によるアルキル化により、または光延化学反応(この場合、トリアルキル−またはトリアリールホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートが典型的には用いられる)により、ヒドロキシ化合物からも調製され得る。典型的光延条件に関しては、Hughes, Org. React. (N.Y.) 42: 335 (1992)およびHughes, Org. Prep. Proced. Int. 28: 127 (1996)を参照されたい。]
[0085] シアノ置換類似体は、加水分解されて、対応するカルボキサミド置換化合物を生じ得る。さらに、加水分解は、対応するカルボン酸置換類似体の形成を生じ得る。水素化アルミニウムリチウムによるシアノ置換類似体の還元は、対応するアミノメチル類似体を生じる。アシル置換類似体は、有機合成技術分野の当業者に知られた技法を用いて、適切なアルキルリチウムとの反応により、対応するカルボン酸置換類似体から調製され得る。]
[0086] カルボン酸置換類似体は、適切なアルコールおよび酸触媒との反応により、対応するエステルに転化され得る。エステル基を有する化合物は、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化アルミニウムリチウムで還元されて、対応するヒドロキシメチル置換類似体を生じ得る。これらの類似体は、次いで、慣用的技法を用いて、水素化ナトリウムおよび適切なアルキルハロゲン化物との反応により、エーテル部分を保有する化合物に転化され得る。代替的には、ヒドロキシメチル置換類似体は、塩化トシルと反応させて、対応するトシルオキシメチル類似体を提供し、これは、塩化チオニルおよび適切なアルキルアミンによる逐次処理により、対応するアルキルアミノアシル類似体に転化され得る。これらのアミドのあるものは、容易に求核アシル置換を受けて、ケトンを生じることが知られている。]
[0087] ヒドロキシ置換類似体は、N−アルキル−またはN−アリールイソシアネートとの反応により、N−アルキル−またはN−アリールカルバモイルオキシ置換化合物を調製するために用いられ得る。アミノ置換類似体は、有機合成技術分野の当業者に知られた技法を用いて、それぞれ、アルキルクロロホルメートエステルおよびN−アルキル−またはN−アリールイソシアネートとの反応により、アルコキシカルボキサミド置換化合物および尿素誘導体を調製するために用いられ得る。]
[0088] 同様に、ベンゼン環(ならびにピリジン、ピリミジン、ピラジンおよびその他のヘテロアリール環)は、既知の化学反応、例えば上記の反応を用いて、置換され得る。例えば、ニトロベンゼン上のニトロ基は、亜硝酸ナトリウムと反応してジアゾニウム塩を形成し、そしてジアゾニウム塩は上記のように操作されて、ベンゼン環上に種々の置換基を形成し得る。
イミプラミンブルーの合成]
[0089] 本明細書中に記載される実施例のいくつかで試験された新規の一化合物は、「イミプラミンブルー」と名付けられた。イミプラミンブルーは、次式を有する:]
[0090] ]
[0091] イミプラミンブルーは、以下に示すように、イミプラミンを、ミヒラーズケトンおよびオキシ塩化リン(POCl3)のような酸と反応させることにより、合成され得る。]
[0092] ]
[0093] 本明細書中に記載される他の化合物は、同様の合成方法を用いて調製され得る。
III.製剤組成物]
[0094] 本明細書中に記載される化合物は、製剤組成物中に組み入れられ、症状または障害に感受性のある被験者においてこのような症状または障害を予防するために、および/または症状または障害に罹患している被験者を治療するために用いられ得る。本明細書中に記載される製剤組成物は、本明細書中に記載されるトリフェニルメタン類似体、および/またはその製薬上許容可能な塩のうちの1つ以上を包含する。光学的に活性な化合物が、ラセミ混合物として、純エナンチオマーとして、または種々のエナンチオマー純度の化合物として、用いられ得る。]
[0095] 化合物が投与される方法は、変わり得る。組成物は、好ましくは、経口的に投与される(例えば、溶媒、例えば水性または非水性液内の、あるいは固体担体内の、液体形態で)。経口投与のための好ましい組成物としては、ピル、錠剤、カプセル、カプレット、シロップおよび溶液、例えば硬質ゼラチンカプセルおよび徐放カプセルが挙げられる。組成物は、単位剤形で、あるいは多数回つまりサブユニット用量で処方され得る。好ましい組成物は、液体または半固体形態である。液体の製薬的に不活性な担体、例えば水または他の製薬的に適合性の液体または半固体を含む組成物が用いられ得る。このような液体および半固体の使用は、当業者によく知られている。]
[0096] 組成物は、注射により、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、クモ膜下腔内、硝子体内、結膜下、眼周囲および脳室内に投与され得る。静脈内投与は、注射の好ましい方法である。注射のための適切な担体は当業者によく知られており、例としては、5%デキストロース溶液、生理食塩水およびリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。化合物は、注入または注射としても投与され得る(製薬上許容可能な液体または液体の混合物中の懸濁液として、または乳濁液として)。]
[0097] 処方物は、他の手段、例えば直腸投与を用いても投与され得る。直腸投与のために有用な処方物、例えば坐薬は、当業者によく知られている。化合物は、吸入により(例えば、鼻に、あるいは米国特許第4,922,901号(Brooks等)(この開示内容は参照により本明細書中で援用される)に記述された型の送達用品を用いて、エアロゾルの形態で);局所的に(例えば、ローションの形態で);あるいは経皮的に(例えば、経皮パッチを用いて、Novartis and Alza Corporationから市販されている技法を用いて)も投与され得る。バルク活性化学物質の形態で化合物を投与することは可能であるが、効率的且つ効果的投与のための製剤組成物または処方物の形態で各化合物を提示するのが好ましい。]
[0098] 化合物は、薬剤送達装置、例えばナノ粒子、マイクロ粒子、マイクロカプセル等の中に組み入れられ得る。代表的マイクロ粒子/ナノ粒子としては、シクロデキストリン、例えばペギル化シクロデキストリン、リポソーム、例えば小単層小胞、ならびに増殖中の腫瘍周囲の毛管床に収容するよう設計されたサイズのリポソームが挙げられる。適切な薬剤送達装置は、例えば、Heidel JD, et al., Administration in non−human primates of escalating intravenous doses of targeted nanoparticles containing ribonucleotide reductase subunit M2 siRNA, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2007 Apr 3: 104(14): 5715−21;Wongmekiat et al., Preparation of drug nanoparticles by co−grinding with cyclodextrin: formation mechanism and factors affecting nanoparticle formation, Chem Pharm Bull (Tokyo). 2007 Mar; 55(3): 359−63;Bartlett and Davis, Physicochemical and biological characterization of targeted, nucleic acid−containing nanoparticles, Bioconjug Chem. 2007 Mar−Apr; 18(2): 456−68;Villalonga et al., Amperometric biosensor for xanthine with supramolecular architecture, Chem. Commun. (Camb). 2007 Mar 7;(9): 942−4;Defaye et al., Pharmaceutical use of cyclodextrines: perspectives for drug targeting and control of membrane interactions, Ann Pharm Fr. 2007 Jan; 65(1): 33−49;Wang et al., Synthesis of Oligo(ethylenediamino)−beta−Cyclodextrin Modified Gold Nanoparticle as a DNA Concentrator;Mol Pharm. 2007 Mar−Apr; 4(2): 189−98;Xia et al., Controlled synthesis of Y−junction polyaniline nanorodsand nanotubes using in situ self−assembly of magnetic nanoparticles, J Nanosci Nanotechnol., 2006 Dec; 6(12): 3950−4;ならびにNijhuis et al., Room−temperature single−electron tunneling in dendrimer−stabilized gold nanoparticles anchored at a molecular printboard, Small. 2006 Dec; 2(12): 1422−6に記載されている。]
[0099] このような化合物の投与方法の例は、当業者には明らかである。これらの処方物の有用性は、用いられる特定の組成物、ならびに治療を受けている特定の被験者に依っている。これらの処方物は、油性、水性であるか乳化され得る液体担体を含有するか、あるいは投与方式に適したある種の溶媒を含有し得る。]
[0100] 化合物は温血動物(例えば、哺乳類、例えばマウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシまたはサル)に、断続的に、あるいは漸次、継続的、定期的、または制御された比率で投与され得るが、しかし有益には、ヒトに投与される。さらに、製剤処方物が投与される1日のうちの時間および1日当たりの回数は、変わり得る。]
[0101] 好ましくは、癌細胞がある領域と活性成分が相互作用するよう、組成物は投与される。本明細書中に記載される化合物は、これらの癌を治療するのに非常に強力である。]
[0102] ある環境では、本明細書中に記載される化合物は、特定の癌を予防または治療するよう意図された他の化合物とともに、製剤組成物の一部として用いられ得る(すなわち、併用療法)。有効量の本明細書中に記載される化合物のほかに、製剤組成物は、添加剤またはアジュバントとして、種々の他の構成成分も含み得る。
タンパク質との複合体形成]
[0103] 本明細書中に記載される化合物は、ペプチドおよびタンパク質、例えばアルブミン、トランスフェリン、VEGF、bFGF等と複合体を形成され得る。これらの複合体は、製造が容易で、非複合体化合物より毒性が低い傾向がある。]
[0104] 投与される場合、トリフェニルメタンは高度にタンパク質結合されている、と考えられる。この結合を利用することにより、新規の送達形態を作り出し得るが、この場合、トリフェニルメタンの水溶液は、漏出性血管を標的にし得る特異的タンパク質(すなわち、アルブミン)、あるいは腫瘍またはその血管系を標的にするタンパク質(VEGF、トランスフェリン、7型コラーゲン、インスリン様増殖因子、PDGF等)とともにインキュベートされ得る。一旦、トリフェニルメタンがタンパク質との複合体を形成すると、それは、例えば静脈内、筋肉内および/または皮下的に注入され、タンパク質複合体は受容体と結合して、取り込まれ、そしてトリフェニルメタンが標的細胞中に放出される。
併用療法]
[0105] 併用療法は、(a)本明細書中に記載されるようなトリフェニルメタン類似体、本明細書中に記載される少なくとも1つの付加的医薬品、および製薬上許容可能な賦形剤、希釈剤または担体を含む単一製剤組成物;あるいは(b)(i)本明細書中に記載されるようなトリフェニルメタン類似体および製薬上許容可能な賦形剤、希釈剤または担体を含む第一の組成物、ならびに(ii)少なくとも1つの本明細書中に記載される付加的医薬品および製薬上許容可能な賦形剤、希釈剤または担体を含む第二の組成物からなる2つの別個の製剤組成物として投与され得る。製剤組成物は、同時に、または逐次的に任意の順序で、投与され得る。]
[0106] 癌を治療または予防するのに用いる場合、本明細書中に記載されるトリフェニルメタン類似体は、一体成形製剤組成物の一部として、少なくとも1つの他の化学療法薬と一緒に投与され得る。代替的には、トリフェニルメタン類似体は、他の抗癌化学療法薬とは別に投与され得る。この実施形態では、トリフェニルメタン類似体および少なくとも1つの他の抗癌化学療法薬は実質的に同時に投与され、すなわち、化合物は、同一時間に、または化合物が一定の時間、血中で治療レベルに達している限り、一方の後に他方が、投与される。]
[0107] 併用療法は、本明細書中に記載されるようなトリフェニルメタン類似体、あるいは本明細書中に記載される化合物の製薬上許容可能な塩またはプロドラッグを、理想的には異なる機序により機能するもの(すなわち、VEGF阻害薬、アルキル化剤等)である少なくとも1つの抗癌化学療法薬と組合せて投与することを包含する。]
[0108] 併用療法のために用いられ得る既知の抗癌薬の例としては、アルキル化剤、例えばブスルファン、シスプラチン、マイトマイシンCおよびカルボプラチン;抗有糸分裂剤、例えばコルヒチン、ビンブラスチン、パクリタキセルおよびドセタキセル;トポI阻害剤、例えばカンプトテシンおよびトポテカン;トポII阻害剤、例えばドキソルビシンおよびエトポシド;RNA/DNA抗代謝物質、例えば5−アザシチジン、5−フルオロウラシルおよびメトトレキセート;DNA抗代謝物質、例えば5−フルオロ−2’−デオキシ−ウリジン、アラ−C、ヒドロキシ尿素およびチオグアニン;ならびに抗体、例えばヘルセプチン(登録商標)およびリツキサン(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。併用療法のために用いられ得る他の既知の抗癌薬としては、三酸化砒素、ゲムシタビン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、ビンクリスチン、ミトグアゾン、エピルビシン、アクラルビシン、ブレオマイシン、ミトキサントロン、エリプチニウム、フルダラビン、オクトレオチド、レチノイン酸、タモキシフェンおよびアラノシンが挙げられる。トリフェニルメタン類似体とともに併用療法に用いられ得る抗癌化合物の他のクラスは、以下に記載される。]
[0109] トリフェニルメタン類似体は、アポトーシスの誘導により前立腺癌細胞の増殖を抑制し得るα−1−アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えば、ドキサゾシン、テラゾシンおよびタムスロシンと併用され得る(Kyprianou, N., et al., Cancer Res 60: 4550−4555, (2000))。]
[0110] σ−2受容体は、種々の腫瘍細胞型中で高密度に発現され(Vilner, B. J., et al., Cancer Res. 55: 408−413 (1995))、σ−2受容体アゴニスト、例えばCB−64D、CB−184およびハロペリドールは、乳房腫瘍細胞株において新規のアポトーシス経路を活性化し、抗新生物薬を増強する(Kyprianou, N., et al., Cancer Res. 62: 313−322 (2002))。したがって、トリフェニルメタン類似体は、少なくとも1つの既知のσ−2受容体アゴニストまたは上記作用物質の製薬上許容可能な塩と併用され得る。]
[0111] トリフェニルメタン類似体は、ロバスタチン、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬および酪酸塩と併用され得るし、マウスのルイス肺癌モデルにおけるアポトーシスの誘導物質は、抗腫瘍作用を増強し得る(Giermasz, A., et al., Int. J. Cancer 97: 746−750 (2002))。併用療法のために用いられ得る既知のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の例としては、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよびセリバスタチン、ならびにその製薬上許容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0112] ある種のHIVプロテアーゼ阻害薬、例えばインジナビルまたはサキナビルは、強力な抗血管新生活性を有し、カポジ肉腫の退縮を促す(Sgadari, C., et al., Nat. Med. 8: 225−232 (2002))。したがって(これらの化合物のトリフェニルメタン類似体を形成するほかに)、トリフェニルメタン類似体は、HIVプロテアーゼ阻害薬または上記作用物質の製薬上許容可能な塩と併用され得る。代表的HIVプロテアーゼ阻害薬としては、アンプレナビル、アバカビル、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450、インジナビル、ネルフィナビル、チプラナビル、リトナビル、サキナビル、ABT−378、AG1776およびBMS−232,632が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0113] 合成レチノイド、例えばフェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチナミド、4HPR)は、小細胞肺癌細胞株において、他の化学療法薬、例えばシスプラチン、エトポシドまたはパクリタキセルと組合せて、良好な活性を有し得る(Kalemkerian, G.P., et al., Cancer Chemother. Pharmacol. 43: 145−150 (1999))。4HPRは、膀胱癌細胞株において、γ放射線と組合せて良好な活性を有することも報告された(Zou, C., et al., Int. J. Oncol. 13: 1037−1041 (1998))。代表的レチノイドおよび合成レチノイドとしては、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、フェンレチニドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0114] プロテアソーム阻害薬、例えばラクタシスチンは、in vivoで、そして腫瘍細胞中でin vitroで、例えば慣用的化学療法薬に耐性であるものにおいて、抗腫瘍活性を発揮する。NF−κB転写活性を抑制することにより、プロテアソーム阻害薬は、in vivoでの血管新生および転移も防止し、さらに、アポトーシスに対する癌細胞の感受性を増大する(Almond, J. B., et al., Leukemia 16: 433−443 (2002))。代表的プロテアソーム阻害薬としては、ラクタシスチン、MG−132およびPS−341が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0115] チロシンキナーゼ阻害薬、例えばSTI571(メシル酸イマチニブ、グリーベック(登録商標))は、他の抗白血病薬、例えばエトポシドと組合せて強力な相乗作用を有する(Liu, W.M., et al., Br. J. Cancer 86: 1472−1478 (2002))。代表的チロシンキナーゼ阻害薬としては、グリーベック(登録商標)、ZD1839(イレッサ(登録商標))、SH268、ゲニステイン、CEP2563、SU6668、SU11248およびEMD121974が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0116] プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、例えばファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬R115777は、ヒト乳癌に対する抗腫瘍活性を保有する(Kelland, L.R., et al., Clin. Cancer Res. 7: 3544−3550 (2001))。ヒト癌細胞株中でのタンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬SCH66336およびシスプラチンの相乗作用も報告されている(Adjei A.A., et al., Clin. Cancer. Res. 7: 1438−1445 (2001))。プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、例えばファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、I型ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼ(GGPTアーゼ−I)およびII型ゲラニルゲラニルタンパク質トランスフェラーゼの阻害薬、または上記作用物質の製薬上許容可能な塩は、本明細書中に記載されるトリフェニルメタン類似体と組合せて用いられ得る。既知のプレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬の例としては、R115777、SCH66336、L−778,123、BAL9611およびTAN−1813が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0117] サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害薬、例えばフラボピリドールは、ヒト結腸癌細胞中で、他の抗癌薬、例えばCPT−11、DNAトポイソメラーゼI阻害薬と組合せて強力な、しばしば相乗的な作用を有する(Motwani, M., et al., Clin. Cancer Res. 7: 4209−4219, (2001))。代表的サイクリン依存性キナーゼ阻害薬としては、フラボピリドール、UCN−01、ロスコビチンおよびオロモウシンが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0118] ある種のCOX−2阻害薬は、血管新生を遮断し、固形腫瘍転移を抑制し、移植消化管癌細胞の増殖を遅くすることが知られている(Blanke, C.D., Oncology (Hunting) 16 (No.4 Suppl.3): 17−21 (2002))。代表的COX−2阻害薬としては、セレコキシブ、バルデコキシブおよびロフェコキシブが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0119] IκB−αリン酸化阻害薬、例えばBAY−11−7082(IκB−αリン酸化の不可逆的阻害薬)も、アポトーシスを誘導し、あるいはアポトーシス誘導時に他の作用物質の有効性を増強することが知られている。これらの阻害薬も、本明細書中に記載される化合物と組合せて用いられ得る。]
[0120] 上記の化合物のいずれもが、トリフェニルメタン類似体との併用療法に用いられ得る。加えて、これらの化合物の多くは、本明細書中に記載される化学作用を用いた化合物に関するケトン、アルデヒド、ヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン官能基の反応により、トリフェニルメタン類似体に転化され得る。これらの化合物のトリフェニルメタン類似体は、本発明の範囲内である。]
[0121] さらに、トリフェニルメタン類似体は、治療的に有用な抗体、例えばヘルセプチン(登録商標)またはリツキサン(登録商標)、増殖因子、例えばDGF、NGF;サイトカイン、例えばIL−2、IL−4、あるいは細胞表面に結合する任意の分子との共役により、腫瘍部位に対して向けられ得る。抗体および他の分子は、本明細書中に記載される化合物を、その標的に送達し、それを有効な抗癌薬にする。生物複合体も、治療的に有用な抗体、例えばヘルセプチン(登録商標)またはリツキサン(登録商標)の抗癌作用を増強し得る。]
[0122] 化合物は、外科手術の前および/または後に化合物を投与することにより外科的腫瘍除去と連係して、そして放射線療法の前、最中および/または後に化合物を投与することにより放射線療法と連係しても用いられ得る。]
[0123] 化合物の適切な用量は、患者が罹患する障害の症候の発生を防止するのに、または障害のいくつかの症候を治療するのに有効な量である。「有効量」、「治療的量」または「有効用量」とは、所望の薬理学的または治療的効果を引き出し、したがって障害の有効な予防または治療をもたらすのに十分な量を意味する。]
[0124] 癌を治療する場合、トリフェニルメタン類似体の有効量は、腫瘍(単数または複数)の増殖を抑制するのに十分な量であり、理想的には、腫瘍を縮小するのに、さらに理想的には腫瘍を破壊するのに十分な量である。癌は、予防的方法で、本明細書中に記載される化合物を投与することにより、初期に、または再発を、防止され得る。好ましくは、有効量は、所望の結果を得るのに十分であるが、しかしかなりの副作用を引き起こすには不十分である。]
[0125] 有効用量は、患者の症状、癌の重症度、ならびに製剤組成物が投与される方法のような因子によって、変わり得る。化合物の有効量は、もちろん、患者によって異なるが、概して、所望の治療効果が生じ始める量を包含するが、有意の副作用が観察される量より低い。]
[0126] 化合物は、本明細書中に記載される方法に従って有効量で用いられる場合、ある種の癌細胞に対して選択的であるが、正常細胞には有意に作用しない。]
[0127] ヒト患者に関しては、典型的化合物の有効用量は、一般的には、少なくとも約1μg/24時間/患者、しばしば少なくとも約10μg/24時間/患者、頻繁に少なくとも約25μg/24時間/患者の量で、化合物を投与することを要する。有効用量は、一般的には、約500μg/24時間/患者を越えないし、しばしば約400μg/24時間/患者を超えないし、頻繁に約300μg/24時間/患者を超えない。さらに、有効用量の投与は、患者の血漿内の化合物の濃度が普通は500ng/mLを超えない、そして頻繁に100ng/mLを超えないような投与である。
IV.化合物および/または製剤組成物の使用方法]
[0128] 本明細書中に記載される化合物、ならびに当該化合物を含む製剤組成物は、癌を治療するために用いられ得る。癌は、Nox酵素のうちの1つが高濃度で存在する(すなわち、Nox1、Nox4等)もの、または癌増殖がROSにより媒介されるものを包含する。]
[0129] 治療され得る代表的障害としては、新生物、例えば血管腫、ならびに悪性腫瘍、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)およびその主要分裂促進受容体血管内皮増殖因子受容体2を包含する自己分泌ループの設定で生じるものが挙げられる。代表的悪性腫瘍としては、悪性内皮系腫瘍、例えば黒色腫が挙げられる。]
[0130] 代表的悪性腫瘍としては、悪性内皮系腫瘍、例えば黒色腫が挙げられる。治療され得るさらなる癌としては、ヒト肉腫および癌腫、例えば繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭管腫瘍、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、例えば形質細胞白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病);ならびに真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、例えば、NF−KB突然変異体およびベルケード耐性リンパ腫細胞、多発性骨髄腫、PI3キナーゼ欠損性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症および重鎖疾患、ならびにこれらの癌の悪性形態が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、化合物は、リンパ芽細胞腫およびEBV陽性細胞を包含する検定に用いられ得る。]
[0131] 一実施形態では、癌は、黒色腫、直腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌、結腸癌、慢性リンパ性癌、有毛細胞白血病、食道癌、前立腺癌、乳癌、骨髄腫またはリンパ腫である。これらの癌は、癌に罹患している患者の血清中に存在する循環レベルのtNox(Nox4または他のNox酵素を包含し得る)を有すると考えられる(例えば米国特許第号5,605,810参照(この記載内容は参照により本明細書中で援用される))。]
[0132] いくつかの実施形態では、患者はすでに癌を有しており、癌のための治療を受けており、腫瘍転移を有する場合もそうでない場合もある(すなわち、二次癌)。]
[0133] 他の実施形態では、化合物は、低酸素症誘導性因子HIF2a発現の抑制時に活性であり、この活性は、標準化学放射線療法に耐性である腫瘍の治療の助けとなる。低酸素症誘導性因子HIF2α(HIFα)は、低酸素ストレスに曝露された細胞の血管新生に、ならびに嫌気性代謝に関連したタンパク質をコードする種々の遺伝子の発現を調節する(Koukourakis et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2002 Aug 1; 53(5): 1192−202)。HIF2a過剰発現は、高微小血管密度(それぞれp=0.02)と、およびVEGF発現(p=0.005)と有意に関連づけられ、そしてVEGF/KDR活性化腫瘍血管系はHIF2a過剰発現腫瘍においてより高頻度である(p=0.02)。高HIF2aレベルは、化学放射線治療に対する不完全応答に関連づけられており(それぞれp=0.02)、HIF2aの過剰発現は、局所的攻撃的行動、血管新生の強化、およびカルボプラチン化学放射線治療に対する耐性に関連する。]
[0134] イミプラミンブルーは、HIF2a発現モデルにおいて評価され、HIF2a発現の約90%を抑制することが示された。この発現モデルでは、WM35PKB細胞は、5μモルの試験化合物に24時間曝露される。この期間の終了時に、細胞はRNAのために採取され、これは次に、cDNAに逆転写されて、HIF2aメッセージのレベルが定量的RT−PCRを用いて定量され、そしてハウスキーピングRNAメッセージに関して補正される。この検定を用いて実証されるように、これらの化合物は、直接的NADPHオキシダーゼ阻害薬として、ならびに欠陥ミトコンドリアまたは他の細胞性工程により産生されるスーパーオキシドを吸収するスーパーオキシド掃去剤として作用し得る。]
[0135] 癌は、腫瘍、例えば上皮組織、リンパ組織、結合組織、骨または中枢神経系の腫瘍の形態で症状発現され得る。]
[0136] 化合物は、前記の型の癌の管理において、現行療法と組合せる補助療法としても用いられ得る。このような状況では、正常細胞型に及ぼす作用を最小限にしながら、癌細胞、例えば薬剤耐性癌細胞に及ぼす作用を最適化する方法で活性成分を投与することが好ましい。これは主に化合物それ自体の行動に基づいて成し遂げられるが、一方、これは、標的化薬剤送達により、および/または有意の副作用を達成するのに必要とされる閾値投与量に従うことなく所望の作用が得られるよう、投与量を調整することによっても、成し遂げられ得る。
Nox2およびNox4受容体により媒介される特定の障害]
[0137] Nox2およびNox4は、NADPHオキシダーゼである。Nox2は、phox p47phox、p22phoxおよびp21rac、ならびにp67phoxを包含する、シトクロムb558として知られている多タンパク質複合体の一部として存在する。racは、rac1または2であり得る。Nox4は、これらのタンパク質と複合体形成する必要はない。]
[0138] Nox2は、好中球、マクロファージおよびリンパ球中で高度に発現され、好中球、マクロファージおよびリンパ球を伴う炎症および新生物形成プロセス、すなわち白血病およびリンパ腫における活性酸素駆動性NFkBを媒介し得る。]
[0139] Nox4は、広範に分布されたNADPHオキシダーゼであり、これは、多数の悪性疾患、すなわち、黒色腫、膵臓癌等において高度に発現され、NFkBを駆動する活性酸素を発生し、これが次に、抗アポトーシス遺伝子、例えばbcl2およびmcl−1を活性化して、放射線および化学療法に対する耐性を生じる。]
[0140] スーパーオキシドの遮断はNFkBの発現低減を生じ、放射線および化学療法に対して悪性疾患を感受性にすることが提示される。]
[0141] 過剰量の活性酸素により特性化される障害は、治療され得る障害と予防され得る障害に分類され得るし、その患者の免疫系は本明細書中に記載される化合物の投与後により活性になる(すなわち、免疫強化)。以下の障害が、本明細書中に記載される化合物を用いて治療され得る:
a)新生物性血管腫、黒色腫、肺癌、乳癌、結腸癌、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、例えば多形性神経膠芽細胞腫、肉腫、頭部および頚部癌、肝細胞癌、鼻咽頭癌、子宮頸癌および前癌状態、血液学的悪性疾患、例えば多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、急性および慢性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、例えばびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
b)炎症性障害−乾癬、アトピー性皮膚炎(湿疹)、喘息、関節炎(例えば、リウマチ性、乾癬性)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性結腸炎)、狼瘡、多発性硬化症、シェーグレン病、胃炎および悪性貧血、スプルー、サルコイドーシス、白斑、円形脱毛、強皮症、繊維性障害、肝硬変、冠動脈疾患、アテローム硬化症、筋炎、心筋炎
c)変性疾患−黄斑変性、アルツハイマー病、パーキンソン病、レービー小体型認知症、プリオン媒介性障害、肺気腫、白内障、皮膚の光老化、翼状片、骨粗鬆症、男性型脱毛症、高血圧症、卒中
D)感染性疾患−細菌、例えばブドウ球菌、すなわちMRSA、ウイルス(すなわち、ヘルペス、HIV、HBV、HCV、HPVおよびインフルエンザ)、ならびに真菌(すなわち、カンジダ)。
骨粗鬆症の治療]
[0142] 本明細書中に記載される化合物は、骨粗鬆症を治療するためにも用いられ得る。サイトカインRANKL(NF−κBリガンドの受容体活性剤)は、破骨細胞を活性化することにより骨粗鬆症を引き起こす。化合物は、核因子κB活性化経路の調整を通して、アポトーシスを強化し、破骨細胞形成を抑制し、侵襲を抑制することにより、RANKL活性を抑制する(例えばMol Cancer Res. 2006 Sep; 4(9): 621−33参照)。
炎症性障害の治療]
[0143] 本明細書中に記載される化合物は、炎症性障害を治療するかまたは予防するのに有用である。活性酸素は、炎症性障害、例えば関節リウマチ、喘息、乾癬、湿疹、狼瘡、強皮症、ある種の心疾患、例えばアテローム硬化症および冠動脈疾患等においてNFkBを駆動する。化合物が活性酸素種の産生を抑制するのに有効であるため、それらは炎症性障害に対して活性である。]
[0144] 化合物は、ある種の炎症性シグナルも抑制し、これらのシグナルを抑制することにより、炎症性関節炎のような炎症性障害を軽減し得る。]
[0145] 関節リウマチ(RA)は、最も一般的な全身性自己免疫疾患と考えられるが、他の障害、例えば甲状腺機能低下症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)等も、本明細書中に記載される化合物を用いて治療され得る。多数の症状、例えば関節リウマチ、心疾患および癌が、慢性炎症、ならびにTNF−αおよびIL−6のレベル上昇に関連づけられる。多数の消化管障害、例えばクローン病、過敏性腸症候群および炎症性腸症候群(これらに限定されない)が、炎症により引き起こされ、これらの障害も、本明細書中に記載される化合物を用いて治療され、および/または予防され得る。]
[0146] 世界の人口の>90%においてメモリーB細胞の一部に潜在的に感染するエプスタイン・バーウイルス(EBV)の再活性化のために、関節リウマチと慢性炎症との間に示唆される関連が認められる。ウイルス性病因に関与するEBVコード化タンパク質の中で、かなりの注意が潜在性膜タンパク質1(LMP1)に集中してきた。EBV形質転換細胞中でタンパク質として発現される9つのEBV遺伝子のうち、LMP1は最も良く特性化されており、in vitroおよびin vivoで細胞を形質転換し得る唯一のEBVコード化遺伝子産物であって、リンパ球増殖性変化および悪性疾患に関する可能性を生じる。B細胞リンパ腫およびその他の悪性疾患の病因におけるその確立された役割のほかに、EBV感染は、種々のヒト自己免疫疾患、例えばRAおよびSLEの悪化と結びつけられ得る。]
[0147] マウスコラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデル(Myers, et al., Life Science 61:1861−1878 (1997))は、関節リウマチとの多数の病理学的および免疫学的類似点を有しており、慢性炎症性症状を治療するための化合物の治療能力を評価するための安定した予測可能なモデルを提供する。このモデルは、例えば、これらの障害を治療しおよび/または予防する本明細書中に記載される化合物の能力を評価するために用いられ得る。]
[0148] in vitroでの本明細書中に記載される化合物によるマウスB細胞株の処理は、CD40およびLMP1媒介性NFkBおよびAP−1活性化における同時用量依存性低減を伴って初代マウスB細胞で観察されるサイトカインプロフィールを反復することが示され得る。用量依存的方法でCD40およびLMP1媒介性NFkBおよびAP−1活性化を低減する化合物は、慢性炎症および付加的病態をもたらすサイトカインを抑制することにより、潜在的に免疫応答の認識相ならびに作動相の両方で、抗炎症特性を有すると期待される。
眼性障害の治療]
[0149] 化合物は、炎症性構成成分を伴う眼障害、例えば湿性および乾性加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、緑内障、新生血管性緑内障、網膜血管炎、ブドウ膜炎、例えば後部ブドウ膜炎、結膜炎、緑内障に派生する網膜炎、上強膜炎、強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、眼球手術後の眼性炎症、物理的眼外傷による眼性炎症、白内障、眼アレルギー、およびドライアイを治療するのに用いるためにも適している。]
[0150] ブルセラ症のような寄生生物により引き起こされる種々の眼性侵襲も存在する。これらの化合物は寄生生物を殺害するため、それらは、普通に生じるブドウ膜炎にも取り組み得る。例えば、トキソカラ属感染は、失明を引き起こし得る眼疾患である眼幼虫移行症(OLM)を引き起こし得る。OLMは、顕微鏡的虫が眼に入った場合に起こる;それは網膜の炎症および瘢痕形成を引き起こし得る。嚢虫症は、有鉤嚢虫による異なる身体器官の寄生生物感染である。マラリアおよびリーシュマニア症の眼症状発現は、十分に実証された且つ部位切迫性の症状である。これらのおよびその他の眼寄生生物感染は、本明細書中に記載される化合物を用いて治療され得る。]
[0151] 眼送達のための一般的方法としては、局所投与(点眼薬、あるいは眼に直接投与するための他の適切な局所的処方物)、結膜下注射、目周囲注射、硝子体内注射、外科手術的埋込み物、ならびに全身経路が挙げられる。]
[0152] 特に、経口および静脈内投与経路が用いられると全身性毒性が重大である場合、硝子体内注射、眼周囲注射、および徐放性埋込み物を用いて、眼組織中の薬剤の治療レベルを達成し得る。点眼薬は、眼の外表面または眼の前面の組織に影響を及ぼす症状を治療するのに有用であり、そしていくつかの処方物は、網膜疾患の治療のために眼の背部に浸透し得る。]
[0153] ある種の障害は眼の背部の組織に影響を及ぼし、この場合、治療は送達が困難である。これらの実施形態では、イオン導入療法を用いて、本明細書中に記載される化合物を眼の背部に送達し得る。例えば、眼イオン導入系であるOcuPhor(商標)は、薬剤を安全且つ非侵襲的に眼の背部に送達し得る(Iomed)。イオン導入療法は、身体組織中におよび組織を通してイオン化薬剤を輸送するために小電流を用いる。眼の組織に害を及ぼし得るので、高すぎる電流密度を用いないよう注意しなければならない。]
[0154] イオン導入療法は、典型的には、薬剤アプリケーター、分散電極および電子イオン導入用量制御装置を用いることを包含する。薬剤アプリケーターは、伝導素子、例えば銀−塩化銀を含有する小型シリコーンシェルであり得る。ヒドロゲルパッドは、薬剤処方物を吸収し得る。小さな曲げ易いワイヤが、伝導素子と用量制御装置を連結し得る。薬剤パッドは、使用直前に薬剤溶液で水和され、アプリケーターが下瞼の下の眼の強膜上に置かれる。処置の間、瞼がアプリケーターをその場に保持する。薬剤の投与用量および速度は、電子制御装置をプログラミングし、設定することにより制御され得る。
神経変性障害の治療および/または神経保護の提供]
[0155] 活性酸素種は、炎症および神経変性も誘導する。これらの種の抑制は、神経保護、例えば虚血性脳損傷、例えば卒中の後の、あるいは鈍的外傷から引き起こされるさらなる損害からの防御、ならびに神経変性障害、例えば網膜変性、アルツハイマー病、老年性認知症、初老期認知症、パーキンソン病、脆弱X症候群、結節性硬化症、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症等の治療または予防にもなり得る。]
[0156] 活性酸素種は発作も駆動し、当該化合物は同様に発作を改善し得る。
血管性障害の治療]
[0157] ROSが関与している血管性疾患、例えば勃起不全および片頭痛も、NADPHオキシダーゼ阻害薬に応答し得る。本明細書中に記載される化合物は、これらの血管性疾患を治療するために用いられ得る。]
[0158] アテローム硬化症は、NADPHオキシダーゼ阻害薬で治療されることが知られている血管性障害の1つである(例えば米国特許第5,763,496号参照)。したがって、化合物は、アテローム硬化症を予防する、および/またはアテローム硬化性プラークの発症を抑制するために用いられ得る。
寄生生物感染の治療]
[0159] 本明細書中に記載される化合物のあるものは、寄生生物性のある種の感染を治療するかまたは予防するために用いられ得る。治療され得る寄生生物感染には、マラリア、トリパノソーマ症およびリーシュマニア症が挙げられる。]
[0160] マラリアは、プラスモディウム属の寄生原生動物により引き起こされる。プラスモディウム属には4つの種、すなわち、プラスモディウム・ファルシパルム、プラスモディウム・ビバックス、プラスモディウム・オバレおよびプラスモディウム・マラリアが存在する。プラスモディウム・ファルシパルムは、最も広範で且つ危険な、そして未だ治療されていない種であり、致命的大脳マラリアを引き起こし得る。]
[0161] リーシュマニア症は、リーシュマニア属に属する寄生原生動物により引き起こされる疾患である。当該疾患は、ある種のサシチョウバエ、例えば新世界のルツゾミア属および旧世界のフレボトムス属のハエに噛まれることにより伝染される。]
[0162] リーシュマニア症には4つの主な形態がある。内臓リーシュマニア症は、最も重篤な形態であり、治療されなければ致命的になる恐れがある。皮膚リーシュマニア症は、最も一般的な形態であり、噛まれた部位に爛れを生じる。爛れは2〜3ヶ月〜1年で治癒して、不快な外見の瘢痕を残し得るが、他の3つの形態のいずれかにも進行し得る。びまん性皮膚リーシュマニア症は、ハンセン病に似た広範な皮膚病変を生じ、治療が特に難しい一形態である。粘膜皮膚リーシュマニア症は、皮膚潰瘍で始まって、これが広がり、鼻および口に対する組織損傷を引き起こす。]
[0163] トリパノソーマ症は、トリパノソーマと呼ばれる寄生生物により引き起こされる障害であり、眠り病として一般に知られている。寄生生物は、ツェツェバエに噛まれることにより、ヒトに伝染される。2つの異なる寄生生物により引き起こされる2つの形態のアフリカ眠り病がある。トリパノソーマ・ブルセイ・ガンビエンスは、数年間継続する慢性感染を引き起こし、西および中央アフリカで主に見出される。トリパノソーマ・ブルセイ・ローデシエンスは、数週間継続する急性疾病を引き起こし、東および南アフリカで主に見出される。治療されなければ、トリパノソーマ症は、激しい苦痛を引き起こして、最終的には死に至る。]
[0164] 本明細書中に記載される化合物のあるものは、これらの障害のうちの1つ以上を治療するのに有効である。]
[0165] 以下の実施例は、本発明を例証するために提示されるものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例において、部およびパーセンテージは全て、別記しない限り重量に基づいている。反応収率は、モルパーセンテージで報告される。]
[0166] 以下の実施例は、本発明を例証するために提示されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例において、部およびパーセンテージは全て、別記しない限り重量に基づいている。反応収率は、モルパーセンテージで報告される。
実施例1:NADHオキシダーゼの分光分析的検定]
[0167] NADHオキシダーゼ活性は、25mMのトリス−Mes緩衝液(pH7.2)、1mMのKCNおよび150μMのNADHを含有する反応混合物中で、37℃で、340nmで測定したNADHの消失として確定され得る。活性は、例えば、各々5分間隔で2回に亘って、撹拌し、継続的に記録しながら、日立U3210分光測定装置を用いて測定され得る。6.22のミリモルの消散係数を用いて、特異的活性を確定し得る。
実施例2:細胞増殖の測定]
[0168] BALB/cf C3Hマウスから生じるマウス乳腺腫瘍亜集団系統4T1は、5%ウシ胎仔血清、5%新生仔ウシ血清、1mMの混合非必須アミノ酸、2mMのL−グルタミン、ペニシリン(100単位/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)を補足したダルベッコ変法イーグル培地であるDME−10中で増殖され得る(Miller et al., 1987, Brit. J. Can. 56: 561−569およびMiller et al., 1990, Invasion Metastasis 10: 101−112)。
実施例3:アンギオポイエチン−2の薬理学的遮断はマウスにおけるモデル血管腫に対して有効である]
[0169] 新生児期の血管腫は、小児における最も一般的な新生物である。血管腫は血管新生の古典的例であるが、血管腫に関与する血管新生因子は十分に理解されているわけではない。悪性内皮系腫瘍は、血管内皮増殖因子(VEGF)ならびにその主要分裂促進受容体血管内皮増殖因子受容体2を包含する自己分泌ループの設定で生じる。]
[0170] 新生児期の血管腫は、それらが通常は退縮し、あるいは薬理学的手段により退縮するよう誘導され得るという点で、悪性内皮系腫瘍とは異なり、このことは、血管腫における血管新生が悪性内皮系腫瘍とは基本的に異なる、ということを示唆する。]
[0171] この実施例におけるデータは、新生児期のヒト血管腫における、ならびに血管腫のネズミモデルbEnd.3細胞を用いた、内皮tie−2受容体の構成的活性化を実証する。bEnd.3血管腫は、アンギオポイエチン−2(ang−2)およびその受容体tie−2の両方をin vivoで産生する。可溶性tie−2受容体によるtie−2シグナル伝達の抑制は、in vivoでのbEnd.3血管腫増殖を低減する。tie−2遮断の効率は、tie−2活性化またはang−2がin vivo増殖に必要とされ得る、ということを示唆する。]
[0172] この組織を取り扱うために、tie−2欠損bEnd.3血管腫細胞を用いた。意外にも、これらの細胞は、in vivo増殖で十分に熟達した。われわれの実験室および他の実験室からの従来の試験は、血管新生スイッチにおける活性酸素発生性nox酵素に関与しており、そこで、in vitroでのang−2産生に関して、ならびにin vivoでのbEnd.3腫瘍増殖に関して、nox阻害薬の作用を評価した。ang−2産生はnox酵素の新規阻害薬を用いて薬理学的に抑制され、この処置は、in vivoでのbEnd.3血管腫増殖をほぼ終わらせた。したがって、ang−2産生を標的にするシグナル伝達遮断は、in vivoでのヒト血管腫の治療に有用であり得る。]
[0173] この実施例全体を通して、以下の略語を用いる:
Ang:アンギオポイエチン;
DPI:ジフェニルヨードニウム;
VEGF:血管内皮増殖因子;
序論]
[0174] 血管腫は、新生児期および小児期の最も一般的な腫瘍であり、小児科医および皮膚科医への不釣合いな数の来診を説明する(Chiller et al., 2003)。組織学的には、血管腫は、種々の直径の血管腔を取り囲む内皮細胞の集団で構成される。血管腫の自然発達は、腫瘍の急速増殖および内皮細胞分裂により特徴づけられる増殖期で開始し、その後、内皮アポトーシスおよび腫瘍サイズ縮小により特徴づけられ、最後に退縮段階で終わる退縮期(involutingstage)に進み、この間に、元の腫瘍は結合組織瘢痕に取って代わられる(Takahashi et al., 1994)。これらの腫瘍は通常は自発的に消散するが、大型腫瘍は圧縮により生きている器官の機能を弱め得るし、高拍出量心不全さえも引き起こし得る(Drolet et al., 1999)。]
[0175] 種々の研究が血管腫のクローン性を確立しており、増殖因子は血管腫の病因に一役を果たし得ること示唆している(Boye et al. 2001;Yu et al., 2001)。内皮細胞による血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の自己分泌産生が血管肉腫への悪性形質転換を生じる、ということをわれわれの実験室は前に示した(Arbiser et al., 2000;McLaughlin et al., 2000)。したがって、内皮化学誘因物質および生存因子として作用する別の因子が血管腫における自己分泌増殖に関与する、とわれわれは仮定した。ここで、tie−2受容体がヒト血管腫において構成的にリン酸化され、血管腫形成における原因因子として、tie−2の構成的活性化またはアンギオポイエチン−2(ang−2)の産生調節解除に関与する、ということをわれわれは実証する。血管腫の病因におけるこれらの作用物質の機能的役割を解明するために、血管腫のネズミモデルbEnd.3細胞(Bautch et al., 1987;Williams et al., 1989)をわれわれは用いて、これらの細胞がtie−2およびそのリガンドang−2の両方を発現する、ということを見出した。可溶性受容体を用いたtie−2の機能的遮断はin vivoでのbEnd.3血管腫の増殖を抑制する、ということもわれわれは実証する。意外にも、tie−2欠損内皮細胞はin vivoで血管腫も開始することが可能で、血管腫の潜在的原因として異常なang−2産生に関与する。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(還元形態)オキシダーゼ(Nox)遺伝子は、前に、血管新生スイッチに連結されており、ang−2を調節することが知られている(Arbiser et al., 2002;Krikun et al., 2002)。小干渉RNAを用いてang−2を安定的に抑制することがわれわれは出来なかったので、Nox遺伝子の遮断によるang−2産生の新規の阻害薬を発見した。これらの阻害薬は、in vivoでのbEnd.3血管腫増殖をほぼ終わらせる。したがって、Nox抑制によるang−2の中和は新生児期の血管腫に対する有効な療法であり得る、ということをわれわれのデータは示唆する。
結果
tie−2およびang−2はin vivoでのbEnd.3血管腫において高度に発現される。]
[0176] bEnd.3血管腫がtie−2およびangを包含する潜在的自己分泌ループを示すか否かを確定するために、マウスにおける病変のin situハイブリダイゼーションをわれわれは実施した。bEnd.3血管腫はang−2およびtie−2の両方の発現を示す、ということをわれわれは見出した。血管内皮増殖因子受容体1および2は、活性内皮リモデリングと一致して、高レベルで発現され、そして少量のVEGFmRNAが観察された。VEGFに関する対照センスプローブの使用は、ハイブリダイゼーションを明示しなかった。ang−1に関する有意のハイブリダイゼーションは観察されなかった(データは示されていない)。
可溶性受容体を用いたang−2の抑制はin vivoでのbEnd.3増殖を抑制する]
[0177] その受容体tie−2の遮断によるang−2発現の抑制がin vivoでの血管腫形成に必要とされるか否かを確定するために、可溶性tie−2/FcをコードするアデノウイルスまたはFc断片単独をコードするアデノウイルスを用いて、注射の24時間前に、bEnd.3細胞を感染させた。この処置は、対照アデノウイルス処置と比較して、腫瘍容積の約66%減を生じた(図1)。各群において用いた3動物の何れにおいても、感染の結果として毒性は観察されなかった。ang−2に関するレンチウイルス小干渉RNAを用いて感染bEnd.3細胞を安定的に生成する試みは、おそらくは、長期増殖のためのang−2/tie−2シグナル伝達に関する要件のために、不成功であった。
tie−2は血管腫のin vivo増殖に必要とされない] 図1
[0178] tie−2受容体の機能的遮断がin vivoでの血管腫形成を有意に低減しないと仮定して、これが減損されたang−2シグナル伝達またはtie−2抑制の結果であるか否かを確定したいとわれわれは考えた。tie−2欠損マウス由来のポリオーマ発現内皮細胞をヌードマウスに注射して、対照と比較した結果、腫瘍容積または組織学治験に有意差は認められなかった。ang−2に対する小干渉RNAを発現するbEnd.3クローンを生成する努力は、おそらくは重度の増殖欠点のために、不首尾に終わった。
トリアリールメタン染料はnox活性を抑制する]
[0179] 特異的Nox阻害薬であるジフェニルヨードニウム(DPI)との化学的類似性を有するため、トリアリールメタン染料を、nox酵素に対する活性に関して検査した。さらに、ブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレットは動物およびヒト曝露の長い歴史を有しており、ゲンチアナバイオレットはヒトへの使用に関して食品医薬品局に認可されている。ブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレットは、用量依存的方法で内皮細胞中で発現されることが知られているnox酵素種であるNox2およびNox4を抑制した(図2aおよびb)。] 図2a
[0180] 図2aおよび2bに示したように、異なる濃度のビヒクル対照BGまたはGVで細胞を処理した;Cos−phox細胞を、さらに、非刺激のままにし、あるいはホルボール12−ミリステート13−アセテートで刺激した。37℃で1時間インキュベーション後、反応を停止させて、ホモバニリン酸検定を用いてH2O2産生を測定した。H2O2の産生を抑制するこれらの薬剤の能力は、非処置対照(100%)と比較したパーセンテージとして示される。Cox−phox細胞は、BGまたはGVを付加した場合もしなかった場合も、ホルボール12−ミリステート13−アセテート刺激なしにH2O2を産生しなかった(示されていない)。最適Nox2活性は、ホルボール12−ミリステート13−アセテート刺激を要するが、一方、Nox4活性は構成的である。
DPIおよびトリフェニルメタン染料、例えばブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレットはin vitroでang−2を抑制する] 図2a
[0181] DPI、ブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレットは全てNox遺伝子を抑制するため、それらがang−2mRNA発現に同様の作用を及ぼすか否かを調べたいとわれわれは考えた。bEnd.3細胞を、DPIあるいは種々の濃度のブリリアントグリーンまたはゲンチアナバイオレットで6.5時間処置した結果、定量的逆転写PCRは、3つの処置群全てにおいて、ang−2発現における統計学的に有意な低減を明示した。]
[0182] 10μMのDPIによる処置は、対照と比較して、ang−2発現の80%低減を生じた(データは示されていない)が、一方、ブリリアントグリーンによる処置は、ang−2産生に及ぼす顕著な用量依存的作用を有し、ang−2mRNAを検出不可能にさせるには0.75μM濃度で十分であった(図2a)。ゲンチアナバイオレットは、対照と比較して、1および5μMの濃度でang−2発現を増大したが、より高い濃度は、ang−2mRNAを有効に70〜90%抑制した(図2b)。] 図2a 図2b
[0183] (a)ブリリアントグリーンおよび(b)ゲンチアナバイオレットによるbEnd.3細胞の処置は、ang−2mRNAのレベルを低減する(18S RNAに関して補正)。示されているバーは、三重反復実験の平均を表し、誤差バーは平均の標準誤差を示す。
ブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレットはin vivoでの血管腫形成を抑制する]
[0184] in vitroでのang−2形成を抑制する化合物がin vivoでの血管腫形成を改善するか否かを確定するために、9匹のヌードマウスに皮下的に100万個のbEnd.3細胞を注射した。ビヒクル対照、ブリリアントグリーンまたはゲンチアナバイオレットによる血管腫の病変内処置は、対照と比較して、それぞれブリリアントグリーンおよびゲンチアナバイオレット群の両方において、腫瘍サイズの95.7%および92.6%の低減および腫瘍進行停止を生じた(図3aおよび3b)。処置の結果として、ヌードマウスのいずれにおいても、局所的毒性も全身毒性も観察されなかった。] 図3a
[0185] 各処置条件に関して、3匹のマウスに1,000,000個のbEnd.3細胞を注射し、9日目および14日目に、ビヒクル対照、ブリリアントグリーンまたはゲンチアンナバイオレット(写真の左から右に)の病変内注射を施した。対照動物における腫瘍負荷に次いで、20日目に動物を安楽死させた。結果を図3aおよび3bに示す。
考察] 図3a
[0186] 血管腫は、小児期の最も一般的な皮膚血管病変であり、1歳の乳児の5%に存在する。それらは、大型サイズに増殖し、生命維持に必要な構造の圧迫または高拍出量心不全を生じ得る。大型血管腫の処置は、ステロイドまたはαIFNの非常に長い経過を要し、これは、内皮アポトーシスまたは外科手術を誘導する。これらの処置は、増殖遅延、感染および不可逆的神経疾患を含めた高レベルの罹患率に関連する(Barlow et al., 1998)。有意数のこれらの血管腫は処置に応答せず、死を引き起こす(Paller et al., 1983;Mulliken et al., 1982;Blei et al., 1998;Enjolras, 1998;Williams III et al., 2000)。したがって、ヒトにおける血管腫のための新規の療法が必要とされる。]
[0187] 血管腫形成に必要とされる増殖因子は、完全に解明されてはいない。血管肉腫がVEGFを発現し、VEGFの過剰発現が血管肉腫の発症をもたらす、ということをわれわれは前に示した(Arbiser et al., 2000)。血管腫は、VEGFタンパク質を発現するがVEGF RNAをほとんど発現せず、そして、VEGFタンパク質は周囲細胞中に、例えば皮膚の上に重なるように生じ得る(Cerimele et al., 2003)。同様に、細菌のバルトネラ・バシリホルミスの内皮感染により引き起こされる血管腫様症状であるペルーいぼ病はin vivoでのang−2の高レベル発現を示すということ、そして感染はin vitroでのang−2の誘導を生じるが、一方、VEGF発現は上に重なる表皮に限定されるということを、われわれは近年実証した(Cerimele et al., 2003)。tie−2発現も口腔血管腫で実証されているが、その機能的役割は不明である(Sato, 2002)。]
[0188] したがって、他の受容体チロシンキナーゼは新生児期の血管腫の病因において重要であり得る、とわれわれは仮定した。血管腫は、それらが、進行性増殖および転移を引き起こすというよりむしろ、退縮するという点で、血管肉腫とは生物学的に異なる。]
[0189] 血管腫のネズミモデル、例えばわれわれが用いたbEnd.3モデルは、ポリオーマウイルスまたはポリオーマ中型T抗原による新生児内皮細胞の感染を介して存在する。これらのモデルは、それらが活発な有糸分裂というよりむしろ宿主内皮細胞の動員により増殖し、そしてそれらがネズミSVR細胞のようには転移しないという点で、血管肉腫とは異なる(Williams et al., 1989;Arbiser et al., 1997)。この試験において、tie−2がヒト血管腫組織においてin vivoで活性化される、ということをわれわれは示しているが、これは生理学的役割を示唆する。bEnd.3由来血管腫細胞、例えばヒト血管腫は、VEGFの少々の寄与も伴って、ang−2およびtie−2を産生する、ということも、われわれが初めて実証する(図2および3)。] 図2
[0190] ノックアウトが子宮内での致死的血管異常を引き起こすので、ang−1および−2はともに、マウスにおける生存度のために必要とされる(Suri et al., 1996;Maisonpierre et al., 1997)。各々は、結合し、tie−2受容体を活性化して、ホスホイノシトール−3キナーゼの活性化のような下流事象をもたらし(Suri et al., 1996)、両ペプチドはVEGFの存在下で血管新生を促進することが示されている。しかしながら、それらはin vivoで反対作用を有する。ang−1のトランスジェニック過剰発現は、非透過性血管をもたらすが、ang−2発現は漏出性血管をもたらす(Suri et al., 1998;Thurston et al., 1999)。Mg−1は、間質細胞により優先的に発現され、一方、ang−2は腫瘍細胞(Tanaka et al., 1999)、そして、われわれがこの試験で実証するように、血管腫モデル細胞により高度に発現される。腫瘍細胞におけるang−1の過剰発現は、血管成熟増大ならびにin vivo増殖低減を生じる(Hawighorst et al. 2002;Stoeltzing et al., 2002)。したがって、増殖性血管性病変、例えば血管腫の病因においてang−1が顕著な役割を果たすとは考えにくい。]
[0191] われわれの結果は、幼児期の血管腫のための新規の療法を示唆し、ポリオーマ誘導性血管腫(宿主内皮細胞または内皮前駆体細胞の動員により血管腫を誘導することが知られている)と、ヒト血管腫との間の類似性を実証する(Whitman et al., 1985;Williams et al., 1989;Dahl et al., 1998)。ang−1および−2の両方をアンタゴナイズする可溶性受容体は、ang−2のリモデリング作用だけでなく、ang−1の抗アポトーシス作用も抑制するという利益を有し得る。tie−2欠損内皮細胞を用いるわれわれの研究は、tie−2の構成的活性化というよりむしろang−2の異所性発現が血管腫形成のために必要とされる、ということを示唆する。tie−2における構成的に活性な突然変異は、血管形成異常において見い出されているが、血管腫では見出されず、tie−2におけるこれらの活性化突然変異はホスホイノシトール−3キナーゼと関連する(Vikkula et al., 1996)。tie−2の天然突然変異も、おそらくはアポトーシスの防止により、不死化内皮細胞中に導入される場合、形質転換していることが示されている。これは、年齢に伴ってアポトーシスを受けるヒト血管腫に存在する内皮細胞とは異なる。これらの知見は、構成的tie−2活性化というよりむしろang−2の異所性産生がin vivoでの血管腫増殖のために必要とされる、というわれわれの仮説を支持する。興味深いことに、血管形成異常関連tie−2対立遺伝子の不死化内皮細胞中への導入は、悪性形質転換をもたらす(Wang et al., 2004)。われわれの結果は、血管腫のin vivo増殖が、tie−2よりむしろang−2に依っているという点で異なっており、血管腫と血管形成異常との間の基本的生物学的差を反映し得る。ang−2に対する小干渉RNAを発現するbEnd.3クローンを生成する試みは成功しなかったが、これは、おそらくは、血管腫増殖に対するang−2の要件を反映している。]
[0192] 活性酸素が血管新生を誘導すること、そしてNox遺伝子の遮断が血管新生低減を引き起こすことを、われわれは以前に示している(Arbiser et al., 2002)。この観察に基づいて、ang−2発現を下方調節するDPI(既知のNox阻害薬)の能力を、われわれは調べた。DPIは、多芳香族環に直接結合される陽イオンを形成するので、トリフェニルメタン染料ファミリーと構造的に類似している。トリフェニルメタン染料、例えばゲンチアナバイオレットおよびブリリアントグリーンは、ヒトおよび獣医学的使用の長い歴史を有する。DPIと同様に、ゲンチアナバイオレットおよびブリリアントグリーンはin vitroでang−2の発現を低減し、そしてこの活性と一致して、in vivoでbEnd.3血管腫の増殖を低減する、ということをわれわれは実証する。Nox遺伝子の阻害薬は、血管腫の治療において療法的有用性を有し得る。
材料および方法
細胞]
[0193] bEnd.3細胞(ATCCCRL 2299)を、アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection, Manassas, VA)から入手し、10%ウシ胎仔血清、L−グルタミン(14ml/l)、組換えマウスVEGF(10ng/ml;R&D Systems, Minneapolis, MN)および抗生物質/抗真菌剤(14ml/l;Sigma−Aldrich)を補足したDMEM(4,500mgのグルコース/l;Sigma−Aldrich, St Louis, MO)中で培養した。HEK293−Nox4−11細胞およびCOS−phox細胞は、以前に記載されている(Price, 2002;Martyn, 2006)。
in situハイブリダイゼーション]
[0194] ホルマリン固定、パラフィン包埋組織の4mm切片に関して、in situハイブリダイゼーションを実施した。in situハイブリダイゼーションの詳細は、以前に報告されている(Arbiser et al., 2000;McLaughlin et al., 2000)。キシレンおよび段階的アルコール;0.2MのHCl;リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中の3mg/mlのプロテイナーゼK/0.2%グリシン/4%パラホルムアルデヒドを有するトリス/EDTA;1/200(容積/容積)の無水酢酸を含有する0.1Mのトリエタノールアミン;ならびに2×標準クエン酸ナトリウムに、スライドを通した。スライドを、以下の混合物中で、35S標識リボプローブで50℃で一晩ハイブリダイズした:0.3MのNaCl/0.01μMのトリス(pH7.6)/5mMのEDTA/0.02%(重量/容積)フィコール/0.02%(重量/容積)ポリビニルピロリドン/0.02%(重量/容積)BSA分画V/50%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン/0.1mg/mlの酵母tRNA/0.01μMのジチオトレイトール。ハイブリダイゼーション後洗浄液は、2×標準クエン酸ナトリウム/50%ホルムアミド/10mMのジチオトレイトール(50℃)、4×標準クエン酸ナトリウム/10mMのトリス、1mMのEDTA(37℃で20mg/mlのリボヌクレアーゼを有する);および2×標準クエン酸ナトリウム/50%ホルムアミド/10mMのEDTA(65℃)、ならびに2×標準クエン酸ナトリウム。0.3Mの酢酸アンモニウムを含有する段階的アルコールを通してスライドを脱水し、乾燥して、コダックNTB2乳濁液(Rochester, NY)で被覆し、暗所で4℃で2週間保存した。乳濁液をコダックD19現像液で現像し、スライドをヘマトキシリンで対比染色した。マウスVPF/VEGFに関する35S標識一本鎖アンチセンスおよびセンスRNAプローブ、ang−1、−2およびtie−2mRNA、ならびにマウスVPF/VEGF受容体、血管内皮増殖因子受容体1および2 mRNAは、以前に記載されている(Arbiser et al., 2000;McLaughlin et al., 2000)。
アデノウイルス感染およびin vivo腫瘍形成試験]
[0195] tie−2Fc融合構築物をアデノウイルス・カセット中に入れて、以前に記載されたようにウイルスを調製した(Thurston et al., 2000)。bEnd.3細胞を、感染多重度5で、tie−2 FcまたはFc対照アデノウイルスに感染させた。感染24時間後に、100万個の細胞を、処置群当たりヌードマウス3匹に皮下注射した。マウスを腫瘍の発症に関してモニタリングし、注射後1ヶ月目に殺した。毒性の証拠は、感染の結果として観察されなかった。tie−2ノックアウトbEnd.3細胞対野生型bEnd.3細胞を用いた実験のために、100万個の細胞を上記と同様に皮下注射した。
ROS産生の確定]
[0196] 前に記載された(Martyn, 2006)ように、ホモバニリン酸検定を用いてH2O2放出を測定した。要するに、1.5〜1.75×105細胞/ウェルで、12ウェルプレートに植えつけた。翌日、細胞をハンクス平衡塩溶液で1回洗浄し、次に、1mlの培地中のゲンチアナバイオレット(10〜20μM)またはブリリアントグリーン(0.5〜1.0μM)とともに、15分間、予備インキュベートした。次に、細胞をハンクス平衡塩溶液で1回洗浄した。ゲンチアナバイオレットまたはブリリアントグリーンを、前処理と同一濃度で、0.5mlのホモバニリン酸検定溶液(Ca2+およびMg2+を有するハンクス平衡塩溶液中の100μMのホモバニリン酸検定、4U/mlのホースラディッシュペルオキシダーゼ)に付加し、37℃で1時間、細胞とともにインキュベートした。Cos−phox細胞を、さらに、0.4μg/mlのホルボール12−ミリステート13−アセテートで刺激した。75μlのホモバニリン酸検定停止緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水中の0.1Mのグリシン/0.1MのNaOH(pH12)および25mMのEDTA)を付加することにより、反応を停止した。320nmの励起および440nmの発光スペクトルで、BioTek SynergyHT(BioTek Instruments Inc., Winooski, Vermont, CA)で、蛍光を読み取った。
ビヒクル対照、ブリリアントグリーンまたはゲンチアナバイオレットで処理したbEnd.3細胞中のang−2に関する定量的逆転写−PCR]
权利要求:

請求項1
tNOXを発現する癌細胞を有する哺乳類において癌を治療する方法であって、t治療的有意量のNOX発現を抑制するのに十分な量のトリアリールメタン治療薬を含む組成物の治療的有効量を前記哺乳類に投与することを含み、それにより腫瘍の成長が少なくとも部分的に阻害される方法。
請求項2
前記哺乳類がヒトである請求項1記載の方法。
請求項3
前記癌が、血管腫、黒色腫、直腸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、小細胞肺癌、結腸癌、慢性リンパ球性癌、有毛細胞白血病、食道癌、前立腺癌、乳癌、骨髄腫およびリンパ腫からなる群から選択される請求項1記載の方法。
請求項4
前記癌が転移癌である請求項1記載の方法。
請求項5
前記ヒトが、トリアリールメタン治療薬の投与前に抗癌療法を受けたために免疫抑制される請求項1記載の方法。
請求項6
前記癌がtNOXを発現する細胞を有する固形腫瘍の形態で症状発現される請求項1記載の方法。
請求項7
前記腫瘍が、上皮組織、リンパ組織、結合組織、骨または中枢神経系の腫瘍である請求項6記載の方法。
請求項8
前記化合物が、非経口的に、経口的に、または腫瘍に直接投与される、請求項1記載の方法。
請求項9
化合物が、埋め込み装置を介して投与される請求項1記載の方法。
請求項10
投与が徐放性処方物を用いて提供される請求項1記載の方法。
請求項11
化合物が、以下の式:(式中、Jは、2つのアリール環の間の直接結合、O、S、Se、NRまたは(CR2)nを表し、n=0〜4、Eは、CH、本明細書中で定義されるような置換基Zに結合されるC、またはNであり、R=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテル、Y=O、SまたはNR2(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、Z=任意置換基、アリール環に結合される単環式環、あるいはベンゼン環またはシクロヘキサジエン環に結合される第二アリールまたはへテロアリール環、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Hまたは本明細書中で定義されるような置換基Zで置換され得るし、Zにより定義される置換基は、C1−6アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R”(ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキルである)からなる群から選択される)ならびに式2および3におけるヘテロアリール環を含む式4に対する対応物のうちの1つを有する、請求項1記載の方法。
請求項12
Xが、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールおよびチオールエーテルからなる群から選択される、請求項11記載の方法。
請求項13
化合物が次式:(式中、Z、XおよびJは、請求項11において定義されるとおりであり、Tは、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−S−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−、−S−C(O)−、−NR−C(O)−、NR、O、S、(−CR2)n、(−CR2)n−NR−、(−CR2)n−O−および(−CR2)n−S−からなる群から選択され、そしてUは、−C(O)−、NR、S、Oおよび(−CR2)nからなる群から選択される)を有する請求項1に記載の方法。
請求項14
UおよびT置換基を含む三環式環が以下の:(式中、X、ZおよびRは請求項11において定義される通りである)からなる群から選択される請求項13記載の方法。
請求項15
UおよびT置換基を含む三環式環が、以下の:からなる群から選択される請求項13記載の方法。
請求項16
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項11において定義される通りである)を有する請求項11記載の方法。
請求項17
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項11において定義される通りである)を有する請求項11記載の方法。
請求項18
眼性障害を治療するための方法であって、眼性障害を治療するために十分な量のトリアリールメタン含有化合物を哺乳類に投与することを含む方法。
請求項19
トリアリールメタン含有化合物の量が治療的有意量のNADPHオキシダーゼを抑制するのに十分である請求項18記載の方法。
請求項20
前記哺乳類がヒトである請求項18記載の方法。
請求項21
前記眼性障害が、湿性または乾性加齢性黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、緑内障、新生血管性緑内障、網膜血管炎、ブドウ膜炎、例えば後部ブドウ膜炎、結膜炎、緑内障に派生する網膜炎、上強膜炎、強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、白内障、眼手術後眼性炎症、物理的眼外傷に起因する眼性炎症、眼性アレルギーおよびドライアイからなる群から選択される請求項18記載の方法。
請求項22
前記眼性障害が、緑内障および白内障からなる群から選択される請求項18記載の方法。
請求項23
前記化合物が、点眼薬または眼に直接投与するための他の適切な局所処方物により投与される請求項18記載の方法。
請求項24
前記化合物が、結膜下注射、眼周囲注射または硝子体内注射により投与される請求項18記載の方法。
請求項25
前記化合物が、外科的移植により投与される請求項18記載の方法。
請求項26
前記化合物が、全身投与によってまたはイオン導入によって投与される請求項18記載の方法。
請求項27
前記投与が徐放性処方物を用いて提供される請求項18記載の方法。
請求項28
化合物が、以下の式:(式中、Jは、2つのアリール環の間の直接結合、O、S、Se、NRまたは(CR2)nを表し、n=0〜4、Eは、CH、本明細書中で定義されるような置換基Zに結合されるC、またはNであり、R=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテル、Y=O、SまたはNR2(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Hまたは本明細書中で定義されるような置換基Zで置換され得るし、Zは、水素、C1−6アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R” からなる群から選択され、ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキルであり、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Zで置換され得る)ならびに式2および3におけるヘテロアリールを含む式4に対する対応物のうちの1つを有する、請求項18記載の方法。
請求項29
化合物が次式:(式中、X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテル、X’は、O、S、NRまたはNR2+(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、Zは、水素、C1−6アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R”からなる群から選択され、ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキルであり、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Zで置換され得る、Tは、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−S−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−、−S−C(O)−、−NR−C(O)−、NR、O、S、(−CR2)n、(−CR2)n−NR−、(−CR2)n−O−および(−CR2)n−S−からなる群から選択され、そしてUは、−C(O)−、NR、S、Oおよび(−CR2)nからなる群から選択される)を有する請求項18に記載の方法。
請求項30
UおよびT置換基を含む三環式環が以下の:(式中、X、ZおよびRは請求項28において定義される通りである)からなる群から選択される請求項29記載の方法。
請求項31
UおよびT置換基を含む三環式環が、以下の:からなる群から選択される請求項29記載の方法。
請求項32
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項28において定義される通りである)を有する、請求項21記載の方法。
請求項33
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項28において定義される通りである)を有する、請求項18記載の方法。
請求項34
次式:(式中、Jは、2つのアリール環の間の直接結合、O、S、Se、NRまたは(CR2)nを表し、n=0〜4、Eは、CH、本明細書中で定義されるような置換基Zに結合されるC、またはNであり、R=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテル、好ましくはアミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールおよびチオールエーテルから選択され、Y=O、SまたはNR2(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、Z=任意置換基、アリール環に結合される単環式環、あるいはベンゼン環またはシクロヘキサジエン環に結合される第二アリールまたはへテロアリール環、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Hまたは本明細書中で定義されるような置換基Zで置換され得るし、Zにより定義される置換基は、C1−6アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R”(ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキルである)からなる群から選択され、X’は、O、S、NRまたはNR2+であり、Tは、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−S−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−、−S−C(O)−、−NR−C(O)−、NR、O、S、(−CR2)n、(−CR2)n−NR−、(−CR2)n−O−および(−CR2)n−S−からなる群から選択され、そしてUは、−C(O)−、NR、S、Oおよび(−CR2)nからなる群から選択される)を有する化合物。
請求項35
UおよびT置換基を含む三環式環が、以下の:(式中、X、ZおよびRは請求項34において定義される通りである)からなる群から選択される、請求項34記載の化合物。
請求項36
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項34において定義される通りである)を有する、請求項34記載の化合物。
請求項37
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項34において定義される通りである)を有する、請求項34記載の化合物。
請求項38
哺乳類における寄生生物感染を治療する方法であって、疾患の治療に十分な量のトリアリールメタン治療薬を含む化合物の治療的有効量を哺乳類に投与することを含む方法。
請求項39
トリフェニルメタン治療薬の量が治療的有意量のNADPHオキシダーゼを抑制するのに十分である請求項38記載の方法。
請求項40
前記哺乳類がヒトである請求項38記載の方法。
請求項41
寄生生物感染が、マラリア、トリパノソーマ症およびリーシュマニア症からなる群から選択される請求項38記載の方法。
請求項42
前記投与が徐放性処方物を用いて提供される請求項38記載の方法。
請求項43
化合物が、以下の式:(式中、Jは、2つのアリール環の間の直接結合、O、S、Se、NRまたは(CR2)nを表し、n=0〜4、Eは、CH、本明細書中で定義されるような置換基Zに結合されるC、またはNであり、R=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテル、そして好ましくはアミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールおよびチオールエーテルから選択され、Y=O、SまたはNR2(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、Z=任意置換基、アリール環に結合される単環式環、あるいはベンゼン環またはシクロヘキサジエン環に結合される第二アリールまたはへテロアリール環、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Hまたは本明細書中で定義されるような置換基Zで置換され得るし、Zにより定義される置換基は、C1−6アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R”(ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキルである)からなる群から選択される)ならびに式2および3におけるヘテロアリールを含む式4に対する対応物のうちの1つを有する請求項38記載の方法。
請求項44
化合物が次式:(式中、Z、XおよびJは請求項34において定義される通りであり、X’は、O、S、NRまたはNR2+であり、Tは、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−S−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−、−S−C(O)−、−NR−C(O)−、NR、O、S、(−CR2)n、(−CR2)n−NR−、(−CR2)n−O−および(−CR2)n−S−からなる群から選択され、そしてUは、−C(O)−、NR、S、Oおよび(−CR2)nからなる群から選択される)を有する請求項43記載の方法。
請求項45
UおよびT置換基を含む三環式環が以下の:(式中、X、ZおよびRは請求項44において定義される通りである)からなる群から選択される、請求項44記載の方法。
請求項46
化合物が、次式:(式中、X、Z、JおよびRは請求項44において定義される通りである)を有する、請求項44記載の方法。
請求項47
次式:(式中、Jは、2つのアリール環の間の直接結合、O、S、Se、NRまたは(CR2)nを表し、n=0〜4、Eは、CH、本明細書中で定義されるような置換基Zに結合されるC、またはNであり、R=H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル、X=H、アミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールまたはチオールエーテル、好ましくはアミン、ヒドロキシ、エーテル、チオールおよびチオールエーテルから選択され、Y=O、SまたはNR2(ここで、アミンは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリールアルキル部分を介してオルト位置で環に連結し戻され得る)、Z=任意置換基、アリール環に結合される単環式環、あるいはベンゼン環またはシクロヘキサジエン環に結合される第二アリールまたはへテロアリール環、ここで、前記アリールまたはへテロアリール環は、任意の遊離位置で、Hまたは本明細書中で定義されるような置換基Zで置換され得るし、Zにより定義される置換基は、C1−6アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−OR’、−NR’R”、−CF3、−CN、−NO2、−C2R’、−SR’、−N3、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SO2R’、−SO2NR’R”および−NR’SO2R”(ここで、R’およびR”は、独立して、水素、C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはアリールアルキルである)からなる群から選択され、X’は、O、S、NRまたはNR2+であり、Tは、−C(O)−、−C(O)−O−、−C(O)−S−、−C(O)−NR−、−O−C(O)−、−S−C(O)−、−NR−C(O)−、NR、O、S、(−CR2)n、(−CR2)n−NR−、(−CR2)n−O−および(−CR2)n−S−からなる群から選択され、そしてUは、−C(O)−、NR、S、Oおよび(−CR2)nからなる群から選択される)を有する化合物。
請求項48
UおよびT置換基を含む三環式環が以下の:(式中、X、ZおよびRは請求項4において定義される通りである)からなる群から選択される、請求項47記載の化合物。
請求項49
UおよびT置換基を含む三環式環が以下の:(式中、X、ZおよびRは請求項47において定義される通りである)からなる群から選択される、請求項47記載の化合物。
請求項50
化合物が、次式:(式中、JおよびXは請求項47において定義される通りである)を有する、請求項47記載の化合物。
請求項51
化合物が、次式:(式中、JおよびXは請求項47において定義される通りである)を有する、請求項40記載の化合物。
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2012-03-06| A300| Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120306 |
优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
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